文型とは「要素の組み合わせ方」
英語の文を読み書きするとき、「単語の意味は全部わかるのに、文の構造がつかめない」という壁に当たることがあります。その壁を越える鍵が、この記事で扱う文型です。
文型を理解するには、二つの土台が要ります。一つはhttps://wordgent.com/grammar/parts-of-speech/、もう一つはhttps://wordgent.com/grammar/sentence-elements/です。この二つは名前が似ていますが、まったく別のものでした。
- 品詞は「単語の種類」です。名詞・動詞・形容詞……といった、その単語がもともと持っている分類のことでした。
- 文の要素は「文の中での役割」です。主語(S)・動詞(V)・目的語(O)・補語(C)といった、その単語がその文の中で何をしているかのことでした。
そして本記事の主役である文型は、この三段目に当たります。
品詞(種類)→ 文の要素(役割)→ 文型(役割の組み合わせ方)
文型とは、文の骨格をつくる要素 ― S・V・O・C ― がどんな順番で、いくつ組み合わさっているかのパターンのことです。英語の文は、見た目はさまざまでも、骨格だけ取り出すとたった5種類のパターンに収まります。これを伝統的に5文型と呼びます。
| 文型 | 骨格 | ざっくりした意味 |
|---|---|---|
| 第1文型 | S V | 「Sが〜する」 |
| 第2文型 | S V C | 「Sは C だ/C になる」 |
| 第3文型 | S V O | 「Sが O を〜する」 |
| 第4文型 | S V O O | 「Sが(人)に(物)を与える」 |
| 第5文型 | S V O C | 「Sが O を C にする/だと思う」 |
ここで多くの学習者は「5つも覚えるのか」と身構えますが、その必要はありません。この記事の立場は一貫してこうです ―
文型は暗記するものではなく、動詞によって決まるものである。
なぜそう言えるのか。文の要素の記事で、「動詞が文の要素を呼び込む(動詞中心)」という考え方を見ました。文型はその発想をそのまま延長したものです。どんな動詞かによって、それが呼び込む要素の数と種類が変わり、その結果として文型が決まります。だから5つのパターンを丸暗記するのではなく、「この動詞はどんな要素を必要としているか」を見れば、文型は自然と決まるのです。
この記事では、まず英語がなぜ「並べる順番」で意味を決める言語なのか(§2)、次に「動詞が文型を決める」とはどういうことか(§3)を押さえ、そのうえで5つの文型を一つずつ(§4)、最後に多くの人がつまずく**補語(C)**を掘り下げて(§5)整理していきます。
なぜ英語は「並べる順番」で意味が決まるのか
文型の話に入る前に、そもそもなぜ英語では「型(語順)」がそれほど大事なのかを押さえておきましょう。ここが腑に落ちると、5文型が「ただの暗記項目」ではなく「意味を決める仕組み」として見えてきます。
手がかりは、日本語と英語の比較です。次の日本語を見てください。
- 太郎が花子を見た。
- 花子を太郎が見た。
語順を入れ替えても、「見たのは太郎、見られたのは花子」という関係は変わりません。なぜ変わらないのか。日本語では助詞(「が」「を」「に」など)が、それぞれの語の役割を示しているからです。「太郎が」と言えば、どこに置こうと太郎が主語です。役割の目印が単語にくっついているので、順番は比較的自由に動かせます。
ところが英語はそうはいきません。
- 誤:Hanako saw Taro.(花子が太郎を見た ―意味が逆転している)
- 正:Taro saw Hanako.(太郎が花子を見た)
英語には「が」「を」にあたる助詞がありません。では何が「誰が・誰を」を決めているのか。置かれた位置です。動詞の前に来た語が主語(S)、後ろに来た語が目的語(O)になります。だから語順を入れ替えると、役割そのものが入れ替わり、意味が逆転してしまいます。
| 役割を決めているもの | 語順 | |
|---|---|---|
| 日本語 | 助詞(が・を・に など) | 比較的自由に動かせる |
| 英語 | 語の位置(並べる順番) | 動かせない(動かすと意味が変わる) |
つまり英語では、S・V・O・C をどの位置にどう並べるか=文型こそが、文の意味を決めているのです。文型は「英文法の一単元」ではなく、英語という言語が意味を組み立てるための土台そのものだと言えます。これが、わざわざ文型を学ぶ理由です。
そして、その「並べ方のパターン」を決めているのが動詞です ― という話が、次の §3 につながります。
なるほどコラム:英語も昔は「語順が自由」だった 英語が最初から語順の言語だったわけではありません。千年ほど前の古英語(Old English)には、日本語の助詞のように語の役割を語形そのもので示す仕組み(格変化)が豊かに残っていました。当時は語尾を見れば「これは主語」「これは目的語」と判別できたため、語順はもっと自由だったのです。ところがその後の歴史の中で、こうした語尾の区別がしだいにすり減って失われ、代わりに語順が役割の担い手になりました。今の英語が「位置で意味を決める言語」なのは、この長い変化の結果なのです。
動詞が文型を決める
前のセクションで、英語は「並べる順番(型)」が意味を決める言語だと確認しました。では、その「並べ方のパターン」は何が決めているのでしょうか。答えが、この記事の背骨にあたる考え方です。
文型を決めているのは、動詞である。
これはhttps://wordgent.com/grammar/sentence-elements/で見た「動詞が文の要素を呼び込む(動詞中心)」という発想を、そのまま延長したものです。文の要素の記事では、動詞を文の中心に置き、動詞が主語・目的語・補語を必要に応じて呼び込む、という見方を立てました。文型とは、その**「動詞が呼び込む要素の数と種類」のパターン**にほかなりません。
たとえるなら、動詞は劇の主役で、文型はその劇に必要な配役表です。「一人で完結する劇」もあれば、「相手役を一人必要とする劇」「相手役を二人必要とする劇」もあります。どんな配役が必要かは、主役である動詞が決めます。
そこで動詞を、「どんな要素を呼び込むか」で5つのタイプに整理してみます。これがそのまま5文型に対応します。
| 動詞のタイプ | 呼び込む要素 | 文型 | 中心イメージ |
|---|---|---|---|
| 自己完結型 | (なし) | S V | S が〜する。それだけで完結 |
| イコール型 | 補語 C(S とイコール) | S V C | S=C |
| 対象型 | 目的語 O(対象) | S V O | S が O を〜する |
| 授与型 | 目的語 O を二つ(人と物) | S V O O | S が(人)に(物)を与える |
| 状態指定型 | 目的語 O + 補語 C(O とイコール) | S V O C | O=C |
この表が、5文型のすべてです。あとはこれを一つずつ具体的に見ていくだけです。
ここで二つ、先に押さえておきたいことがあります。
一つめは、飾り(M)は配役に数えないということ。文の要素の記事で、文の骨格をつくる S・V・O・C と、それに彩りを添える修飾語 M を区別しました。動詞が呼び込むのは骨格の要素だけで、「いつ」「どこで」「どのように」といった M は、いくつ付け足しても文型のカウントには入りません。この点は §4 以降でくり返し確認します。
二つめは、同じ動詞が複数のタイプを兼ねること。たとえば make は「作る(対象型・SVO)」「作ってあげる(授与型・SVOO)」「〜の状態にする(状態指定型・SVOC)」と、文によって異なる配役を呼び込みます。これは「文型が暗記では決まらない」ことの何よりの証拠です。型は動詞に固定でひも付いているのではなく、その文でその動詞がどう使われているかで決まります。だからこそ「動詞が文型を決める」のです。この点は §6 のつまずきポイントで改めて扱います。
それでは、5つの文型を順に見ていきましょう。
第1文型(S V)― 動詞だけで完結する
第1文型は、もっとも単純な型です。主語(S)と動詞(V)だけで文が成り立ちます。
ここで使われる動詞を完全自動詞と呼びます。「完全」というのは、目的語や補語といった相手役を呼び込まなくても、それ自体で意味が完結する、という意味です。先ほどの配役表でいう「自己完結型」にあたります。
| 例文 | S | V | 意味 |
|---|---|---|---|
| Birds fly. | Birds | fly | 鳥は飛ぶ |
| The sun rises. | The sun | rises | 太陽が昇る |
| She smiled. | She | smiled | 彼女はほほえんだ |
| Accidents happen. | Accidents | happen | 事故は起こるものだ |
どれも「S が〜する」だけで言いたいことが完結しています。「鳥は飛ぶ」と言うのに、何を飛ぶのか(目的語)も、どんな状態なのか(補語)も要りません。
M が付いても、型は S V のまま
実際の英文では、第1文型に「いつ」「どこで」といった情報が添えられることがよくあります。
- She smiled. → She smiled at me yesterday.(彼女は昨日、私にほほえんだ)
at me も yesterday も増えましたが、これらは飾り(M)です。文の骨格は She smiled のままなので、この文の文型は依然として第1文型です。M をいくつ足しても型は変わらない ― §3 で予告したとおりです。
ここで一つ注意があります。動詞の中には、live(住む)や go(行く)のように、意味の上では場所を表す語句をほぼ必ず伴うものがあります。
- I live in Fukuoka.(私は福岡に住んでいる)
in Fukuoka は意味的には欠かせないように感じますが、文法上は M(副詞句)であり、骨格は I live、つまりこれも第1文型です。「意味として必要かどうか」と「骨格の要素かどうか」は別の話だ、という点が要注意ポイントです。
なお、自動詞そのものの掘り下げ ― 自動詞と他動詞の見分け方、前置詞をいつ伴うか ― はhttps://wordgent.com/grammar/intransitive-transitive-verbs/とhttps://wordgent.com/grammar/verbs-with-or-without-to/で詳しく扱います。ここでは「S と V だけで骨格が完結する型」という位置づけを押さえれば十分です。
第2文型(S V C)― S と C がイコールで結ばれる
第2文型は、主語(S)・動詞(V)・補語(C)の三つでできています。最大の特徴は、S と C がイコールの関係になることです。
- He is a doctor.(彼は医者だ)→ He = a doctor
- She looks happy.(彼女は幸せそうだ)→ She = happy(な状態)
補語(C)は、主語が「何であるか」「どんな状態か」を説明する要素です。配役表でいう「イコール型」の動詞が、この C を呼び込みます。
イコール型の動詞
第2文型をつくる動詞は、大きく三つのグループに分けると見通しが良くなります。
| グループ | 代表的な動詞 | 例文 | イコール関係 |
|---|---|---|---|
| 状態(〜である・〜のままだ) | be, remain, stay, keep | The door remained open. | door = open |
| 変化(〜になる) | become, get, grow, turn, go | She became a lawyer. | She = a lawyer |
| 知覚(〜に見える・感じる) | look, seem, appear, feel, sound, taste, smell | This sounds great. | This = great |
これらの動詞は「S が何であるか/どうなるか/どう感じられるか」を述べるための動詞で、その「何・どう」にあたる部分(C)を必ず必要とします。
C には名詞も形容詞も来る
補語には、名詞が来る場合と形容詞が来る場合があります。
| C の品詞 | 例文 | 説明 |
|---|---|---|
| 名詞 | He is a teacher. | He = a teacher(彼=先生という人物) |
| 名詞 | They became friends. | They = friends |
| 形容詞 | She looks tired. | She = tired(疲れた状態) |
| 形容詞 | The soup got cold. | The soup = cold |
名詞が C のときは「S はその人物・物だ」、形容詞が C のときは「S はその状態だ」と、いずれも S=C のイコールが成り立っているのがわかります。
なぜ「補語」と呼ぶのか 補語の「補」は「補う」という字です。第2文型の動詞(be, become, look など)は、それだけでは文の意味が完結しません。「彼は〜だ」「彼女は〜に見える」と言いかけて止まってしまい、聞き手は「〜って何?」と続きを待ちます。その足りない部分を補って意味を完成させる語、だから補語と呼ばれます。英語の complement も「完全にするもの(complete させるもの)」が語源で、まさに同じ発想です。
この「S=C」という関係は、第5文型(S V O C)の「O=C」とそっくりです。補語(C)というつかみどころのない要素を、二つの文型を見たあとで §5 にまとめて掘り下げます。ここでは「第2文型の C は、主語とイコールで結ばれる」とだけ覚えておいてください。
第3文型(S V O)― 動詞の動作が及ぶ対象を示す
第3文型は、主語(S)・動詞(V)・目的語(O)の三つでできています。日本語の「S が O を〜する」にあたる、もっとも使用頻度の高い型です。
- I read a book.(私は本を読む)
- She loves music.(彼女は音楽が好きだ)
- He opened the window.(彼は窓を開けた)
ここで使われる動詞を他動詞と呼びます。配役表でいう「対象型」です。read(読む)・love(好む)・open(開ける)といった動作は、それが及ぶ**相手(対象)**がないと意味が宙に浮きます。「読む」と言われれば「何を?」、「開ける」と言われれば「何を?」と、対象を求めたくなる ― その対象が目的語(O)です。
O は主語とイコールにならない
第3文型の目的語(O)と、第2文型の補語(C)は、文の中の位置(動詞の直後)が同じなので混同されがちです。しかし両者は決定的に違います。
| 文型 | 例文 | 関係 |
|---|---|---|
| 第2文型 S V C | She is a teacher. | She = a teacher(イコール) |
| 第3文型 S V O | She knows a teacher. | She ≠ a teacher(別人) |
「彼女は先生だ(She=teacher)」が第2文型、「彼女はある先生を知っている(彼女と先生は別人)」が第3文型です。動詞の後ろの名詞が主語とイコールになるか(=C)/ならないか(=O)。これが2文型と3文型を見分ける決め手で、§5 で改めて扱います。
なお、「O の前に前置詞(to / at など)が要るのか要らないのか」という、多くの学習者がつまずく問題はhttps://wordgent.com/grammar/verbs-with-or-without-to/で、自動詞と他動詞の見分け方そのものはhttps://wordgent.com/grammar/intransitive-transitive-verbs/で、それぞれ専門に扱います。ここでは「他動詞が対象(O)を呼び込む型」という骨格を押さえてください。
第4文型(S V O O)― 「人に物を与える」型
第4文型は、目的語(O)を二つとる型です。「S が(人)に(物)を与える」という意味を表し、二つの O はそれぞれ役割が違います。
- I gave him a book.(私は彼に本をあげた)
- him … 一つめの O(受け取る人)
- a book … 二つめの O(与えられる物)
この二つを区別して、一つめを間接目的語(人)、二つめを**直接目的語(物)**と呼びます。順番は「人 → 物」が基本です。配役表でいう「授与型」で、give のように「誰かに何かを渡す」意味を持つ動詞が、人と物の二つの相手役を呼び込みます。
| 例文 | S | V | O(人) | O(物) |
|---|---|---|---|---|
| He told me the truth. | He | told | me | the truth |
| She sent us a letter. | She | sent | us | a letter |
| I bought her flowers. | I | bought | her | flowers |
こうした「人に物を〜する」型をつくる動詞には、give(与える)・tell(伝える)・send(送る)・show(見せる)・teach(教える)・buy(買ってあげる)・make(作ってあげる)などがあります。これらはまとめて授与動詞と呼ばれます。
二つの O は、互いにイコールにならない
第4文型で大切なのは、二つの O は別物だということです。
- I gave him a book. → him ≠ a book(彼は本ではない)
「彼」と「本」は当然ながら別のものです。この「O ≠ O」という点が、次の第5文型との決定的な違いになります。ここを意識しながら、第5文型に進みましょう。
なお、第4文型を「S V O(人)+ 前置詞 + O(物)」の第3文型に書き換える操作(I gave a book to him.)は、よく問われるテーマですが、前置詞 to / for の使い分けを含めてhttps://wordgent.com/grammar/verbs-with-or-without-to/にゆずります。ここでは「O を二つとる型」という骨格に集中します。
第5文型(S V O C)― 「O を C にする・だと思う」型
第5文型は、目的語(O)と補語(C)をとる型です。「S が O を C にする/C だと思う」という意味を表します。
- We named the dog Pochi.(私たちはその犬をポチと名づけた)
- The news made me happy.(その知らせは私を幸せにした)
- I found the book interesting.(私はその本をおもしろいと思った)
配役表でいう「状態指定型」です。この型の核心は、O と C がイコールの関係にあることです。
- the dog = Pochi(その犬=ポチ)
- me = happy(私=幸せな状態)
- the book = interesting(その本=おもしろい)
第2文型では「S=C」でしたが、第5文型では「O=C」になります。動詞の働きで、O が C という状態・名前・性質に結びつけられる ― それが第5文型です。
| 例文 | S | V | O | C | O = C |
|---|---|---|---|---|---|
| We named the dog Pochi. | We | named | the dog | Pochi | 犬 = ポチ |
| The news made me happy. | The news | made | me | happy | 私 = 幸せ |
| Keep the room clean. | (You) | keep | the room | clean | 部屋 = きれい |
第4文型(O ≠ O)と第5文型(O = C)の決定的な違い
第4文型と第5文型は、どちらも「S V + 名詞 + ○○」という見た目で、混同が起こりやすい組み合わせです。しかし両者は、後ろ二つの関係を見れば一発で見分けられます。
| 並び | 後ろ二つの関係 | 例文 | |
|---|---|---|---|
| 第4文型 | S V O O | O ≠ O(人と物は別物) | I made her a cake.(彼女にケーキを作ってあげた) |
| 第5文型 | S V O C | O = C(O と C は同じ) | I made her a star.(彼女をスターにした) |
同じ made でも、her ≠ a cake なら第4文型(彼女にケーキを作る)、her = a star なら第5文型(彼女をスターにする=彼女がスターになる)です。動詞のあとの二つが、別物か(=O O)/イコールか(=O C)。これが第4文型と第5文型を分ける唯一にして最大の見分け方です。
ここでも、文型を決めているのは動詞ではなく ― いや正確には、その文で動詞がどう使われ、どんな関係の要素を呼び込んでいるかです。同じ make が、対象一つなら第3文型、人と物なら第4文型、O=C なら第5文型をつくる。「動詞が文型を決める」が、ここでもはっきり効いています。
第5文型の補語(C)も、第2文型の C と同じく「イコールの相手」です。二つの文型の C をまとめて、次の §5 で掘り下げましょう。
補語(C)を深く理解する
ここまで第2文型(S=C)と第5文型(O=C)の二つで補語(C)が登場しました。補語は、目的語と並んでつまずきやすい要素です。https://wordgent.com/grammar/sentence-elements/では「補語=イコール関係をつくる要素」という概念だけを立て、詳しい話はこの記事にゆずっていました。二つの文型を見たいま、まとめて掘り下げましょう。
補語とは「イコールの相手」である
補語をひと言で言えば、何かとイコール(=)の関係になる要素です。誰とイコールになるかが、文型によって違うだけです。
| 文型 | 並び | 補語がイコールになる相手 | 例文 |
|---|---|---|---|
| 第2文型 | S V C | 主語 S | She is happy.(She = happy) |
| 第5文型 | S V O C | 目的語 O | I made her happy.(her = happy) |
同じ happy という補語でも、第2文型では主語(She)とイコールになり、第5文型では目的語(her)とイコールになります。「補語は誰かの状態・正体を説明する」という働きは共通で、その「誰か」が S なのか O なのかが文型の違いに対応している ― こう捉えると、二つの C が一つの考え方でつながります。
実際、第5文型の「O = C」の部分だけ取り出すと、第2文型の「S = C」と同じ構造をしています。
- She is happy.(彼女は幸せだ)… S = C
- I made her happy.(私は彼女を幸せにした)… her = happy
I made her happy. の「her happy」の部分には、「her is happy(彼女が幸せである)」という第2文型と同じ関係が埋め込まれています。第5文型は、いわば文の中に小さな「S=C」を抱えた型なのです。この見方ができると、第5文型はぐっと理解しやすくなります。
補語(C)と目的語(O)の見分け方
補語でもっとも実用的な問題は、動詞の直後の名詞が補語(C)なのか目的語(O)なのかの見分けです。どちらも動詞の後ろに来るため、形だけでは区別できません。決め手は一つ、イコールが成り立つかどうかです。
| 関係 | 例文 | 判定 | |
|---|---|---|---|
| 補語 C | 主語とイコールになる | She became a doctor. | She = a doctor → 第2文型の C |
| 目的語 O | 主語とイコールにならない | She met a doctor. | She ≠ a doctor → 第3文型の O |
「彼女は医者になった(彼女=医者)」なら C、「彼女は医者に会った(彼女と医者は別人)」なら O です。動詞の後ろの名詞について「これは主語と同一人物・同一物か?」と問い、イコールが成り立てば補語、成り立たなければ目的語 ― この一つの問いで判別できます。
目的語(O)が二つ並ぶ第4文型と、目的語+補語の第5文型の見分けも、同じ問いで解けます。
- I made her a cake. → her ≠ a cake(彼女≠ケーキ)→ 二つとも O → 第4文型
- I made her a star. → her = a star(彼女=スター)→ あとの語は C → 第5文型
補語にまつわる見分けは、結局すべて**「イコールが成り立つか」**の一点に帰着します。これが補語という要素の本質です。
つまずきポイント
文型でつまずきやすい点を、これまでの内容を振り返りながら整理します。多くは「イコール関係」と「飾り(M)」の二つを意識すれば乗り越えられます。
つまずき1:第2文型と第3文型を取り違える
動詞の直後に名詞が来たとき、それを反射的に「目的語(O)」と判断してしまう誤りです。
- 誤:He became a teacher. の a teacher を目的語と考える
- 正:He = a teacher が成り立つので a teacher は補語(C)。これは第2文型
become / look / seem / feel などイコール型の動詞では、後ろの名詞・形容詞は補語です。「主語とイコールになるか」を確かめる習慣をつけましょう。
つまずき2:第4文型と第5文型を取り違える
「S V + 名詞 + 名詞」の並びを見たとき、つねに第4文型(O O)だと思い込む誤りです。
- 誤:They elected him president. を「彼に大統領を〜した」と第4文型で読む
- 正:him = president(彼=大統領)なので第5文型。「彼を大統領に選んだ」
後ろ二つが別物なら第4文型(O≠O)、イコールなら第5文型(O=C)。§5 で見た「イコールが成り立つか」の問いがそのまま使えます。
つまずき3:修飾語(M)を文型のカウントに入れる
文型を数えるとき、飾り(M)まで要素に含めてしまう誤りです。
- 誤:I study English hard. を「要素が三つあるから第3文型ではない別の何か」と考える
- 正:hard は飾り(M・副詞)。骨格は I study English の S V O なので第3文型
https://wordgent.com/grammar/sentence-elements/で見たとおり、文型を決めるのは骨格の要素(S・V・O・C)だけです。「いつ・どこで・どのように」を表す M は、いくつあっても文型のカウントには入りません。前置詞のついた句(in the morning など)も多くは M です。文型を見分けるときは、まず M を頭の中で取り去り、骨格だけを残してから数えるのがコツです。
つまずき4:「動詞ごとに文型は一つ」と思い込む
一つの動詞は一つの文型に決まっている、という思い込みです。実際には、同じ動詞が文によって複数の文型をつくります。
| 例文 | 文型 | 意味 |
|---|---|---|
| The ice melted. | 第1文型 S V | 氷が溶けた |
| She made a cake. | 第3文型 S V O | 彼女はケーキを作った |
| She made him a cake. | 第4文型 S V O O | 彼女は彼にケーキを作ってあげた |
| She made him happy. | 第5文型 S V O C | 彼女は彼を幸せにした |
同じ make でも、呼び込む要素の数と関係しだいで第3〜第5文型に変わります。だからこそ「動詞を見たら文型が暗記で決まる」のではなく、その文で動詞がどんな要素を呼び込んでいるかを読むことが大切なのです。これが、この記事を貫く「動詞が文型を決める」の本当の意味です。
まとめ早見表
5つの文型を一覧で整理します。見分けの軸は「動詞がどんな要素を呼び込むか」、そして「イコール関係があるか」です。
| 文型 | 骨格 | 動詞のタイプ | イコール関係 | 例文 |
|---|---|---|---|---|
| 第1文型 | S V | 完全自動詞(自己完結型) | なし | Birds fly. |
| 第2文型 | S V C | イコール型(be, become, look など) | S = C | She is happy. |
| 第3文型 | S V O | 他動詞(対象型) | なし(S ≠ O) | I read a book. |
| 第4文型 | S V O O | 授与動詞(人 → 物) | なし(O ≠ O) | I gave him a book. |
| 第5文型 | S V O C | 状態指定型 | O = C | I made him happy. |
見分けの手順も整理しておきます。
- まず飾り(M)を頭の中で取り去る。「いつ・どこで・どのように」は文型に数えない。
- 残った骨格で、動詞のあとに何がいくつあるかを見る。
- 動詞のあとの語について、主語や目的語とイコールになるかを確かめる。
- 何もなければ → 第1文型
- 一つあって、主語とイコール → 第2文型/イコールにならない → 第3文型
- 二つあって、互いに別物 → 第4文型/後ろが前をイコールで説明 → 第5文型
文型は暗記する5つのパターンではなく、動詞が呼び込む要素を読み解いた結果です。「この動詞は何を必要としているか」「動詞のあとの語はイコールでつながるか」 ― この二つの問いを持って英文に向き合えば、文型は自然と見えてきます。
次に読むとよい記事
文型を理解する土台として、まずは品詞(単語の種類)と文の要素(文中の役割)を押さえておくと、この記事の内容がより深く理解できます。
そのうえで、各文型を深掘りする記事へ進みましょう。
- 自動詞・他動詞 ― 第1文型と第3文型を分ける「自動詞と他動詞」を完全攻略
- 「toがいる・いらない」の正体 ― 目的語の前に前置詞が要るか要らないか、第4文型の書き換えもここで
- 使役動詞 make・have・let・get ― 第5文型(SVOC)を深掘りした「OにCさせる」の使い分け
- there is / are の基本 ― 第1文型の主語を後ろに回した「〜がある・いる」の構文