will は「これから」を表す一語
助動詞 will は、「未来=〜だろう」を表す語として習うのが定番です。しかし、will にはもう一つ、大事な意味があります。
- I will call you tonight.(今夜電話するよ)… 意志(するつもり)
- It will rain tomorrow.(明日は雨だろう)… 未来・予測(〜だろう)
「〜するつもり(意志)」と「〜だろう(未来の予測)」── どちらもよく使われますが、別物に見えるかもしれません。しかし、助動詞 canや助動詞 mustの記事で見たように、一つの助動詞が複数の意味を持つのは、その助動詞のコアイメージが場面によって違う方向にあらわれるからでした。
will も同じです。意志も未来も、たった一つのコア ── 「これから先、そうする・そうなると、“今”見定める」── から枝分かれしています。
この記事では、まず will のコアイメージ(§2)を押さえ、意志(§3)と未来・予測(§4)の意味、よく似た be going to との違い(§5)、そして否定 won’t の表す拒絶(§6)を整理していきます。
will のコアイメージ ― 先のことを、今見定める
will の根っこにある意味は、一つです。
これから先のことについて、「そうする」「そうなる」と、今の時点で見定める。
ポイントは、「先のこと」を「今、心に決める・見通す」という点です。まだ起きていない未来に対して、話し手が今この瞬間に「そうなる」と判断を下す ── これが will のコアです。そして、その見定めが何に向かうかで、意味が枝分かれします。
- 見定めが、自分の行動に向かう → 「(自分が)そうする」=意志(〜するつもり・するよ)
- 見定めが、物事の成り行きに向かう → 「(自然に)そうなる」=未来・予測(〜だろう)
どちらも「先のことを今見定める」点では同じです。その見定めの矛先が、「自分がこれからする行動」なら意志に、「世の中の成り行き」なら未来の予測になる、というだけです。
- I will help you.(自分が「手伝う」と今決める)… 意志
- It will be sunny.(「晴れる」と今見通す)… 未来・予測
「今、先を見定める。それが自分の行動か、物事の成り行きか」── この一点で、will の意味は整理できます。
なるほどコラム:will はもともと「望む」だった will は、古い英語の willan という動詞からきています。これは「望む・〜しようと思う」という意味でした(名詞の will「意志・遺言」も同じ仲間です)。つまり will の最も古い中心は「未来」ではなく「意志」だったのです。「自分はこうしようと思う」という意志の意味から、「(そう思っているのだから)そうなるだろう」という見通しへと広がり、やがて広く未来を表すようになりました。will を「未来の語」とだけ覚えると意志の意味を見落としがちですが、語源をたどれば、意志こそが will の出発点だと分かります。
意味1 ― 意志(〜するつもり・〜するよ)
一つめの意味は、「〜するつもり・〜するよ」という意志です。これは、§2 で見た「今見定める」が、自分の行動に向かった場合です。その場で「自分はそうする」と決める気持ちを表します。
- I will call you later.(あとで電話するよ)
- OK, I will do it.(わかった、やるよ)
- We will never give up.(私たちは決してあきらめない)
どれも、話し手が「自分はこうする」と心を決めている文です。とくに、その場の状況を見てとっさに決めた意志を表すのが、will の得意とするところです。
- The phone is ringing. ― I**’ll** get it.(電話が鳴ってる。― 私が出るよ)
電話が鳴ったのを聞いて、その瞬間に「自分が出る」と決めています。このような「今この場で決める意志」は、まさに will のコア「今、先を見定める」がそのままあらわれた使い方です。会話では、I will がよく I’ll と短縮されます。
意味2 ― 未来・予測(〜だろう)
二つめの意味は、「〜だろう」という未来の予測です。これは、「今見定める」が、物事の成り行きに向かった場合です。自分の意志とは関係なく、これから自然にそうなるだろう、と見通します。
- It will rain tomorrow.(明日は雨だろう)
- She will be twenty next year.(彼女は来年20歳になる)
- The meeting will start at three.(会議は3時に始まるだろう)
いずれも、話し手が「そうなる」と予測・見通しを述べている文です。意志(自分がする)とは違い、物事がひとりでにそうなる、という成り行きを表しています。
意志か予測かは、主語と内容で見分けられます。主語が「自分(I / we)」で、自分の行動を述べていれば意志のことが多く、主語が物事で、成り行きを述べていれば予測です。とはいえ、どちらも「先のことを今見定める」という同じコアから来ているので、無理に二分しなくても、文脈で自然に読み取れます。
will と be going to の違い
未来を表す言い方には、will のほかに be going to があります。どちらも「これから」を表しますが、ニュアンスに違いがあります。この違いは、will のコア「今見定める」を思い出すと、すっきり理解できます。
will ― その場で決める
will は、§3 で見たとおり、「今この場で、そうすると決める・見通す」表現です。前もって計画していたわけではなく、話している瞬間に決まったことを表します。
- (電話が鳴って) I**’ll** answer it.(私が出るよ)… 今決めた
be going to ― 前から決めている・根拠がある
一方 be going to は、「前もってそうすると決めている」「すでにある根拠から、そうなりそうだ」という表現です。話す前から心づもりや兆候があった、というニュアンスです。
- I**’m going to** visit Kyoto next week.(来週、京都へ行く予定だ)… 前から計画している
- Look at those clouds. It**’s going to** rain.(あの雲を見て。雨になりそうだ)… 雲という根拠がある
同じ「雨が降る」でも、It will rain. は「(たぶん)雨だろう」という単なる見通しですが、It’s going to rain. は「(この雲だと)雨になりそうだ」と、目の前の根拠から判断しています。
| 表現 | ニュアンス | 例文 |
|---|---|---|
| will | その場で決める・単なる見通し | I**’ll** help you.(手伝うよ=今決めた) |
| be going to | 前から決めている・根拠がある | I**’m going to** help you.(手伝うつもりだ=前から) |
おおまかには、「今決めた」なら will、「前から決めていた・根拠がある」なら be going to、と捉えると使い分けやすくなります。未来の表し方全体については、未来を表す形の記事でもくわしく扱っています。
否定 won’t ― どうしても「そうしない」
will の否定は will not、短縮形は won’t です。これは単に「〜しないだろう」という未来の否定を表すほか、もっと強い意味 ── 「どうしても〜しない」という拒絶 ── を表すことがあります。
- I won’t tell anyone.(誰にも言わないよ)… 「言わない」という強い意志
- She won’t listen to me.(彼女はどうしても私の話を聞こうとしない)… 拒絶
この「拒絶」は、§2 で見た will のコアから自然に出てきます。will が「これから先、そうすると見定める」なら、その否定 won’t は「これから先、そうすることを断固として見定めない=どうしてもしない」となるわけです。意志の will を否定したので、「強い拒否」の気持ちがあらわれます。
おもしろいのは、この拒絶が**物(もの)**にも使われることです。
- The door won’t open.(ドアがどうしても開かない)
- The car won’t start.(車がどうしてもエンジンがかからない)
ドアや車に意志があるわけではありませんが、まるで「ドアが開くことを拒んでいる」かのように、won’t で表現します。「どうやっても開こうとしない」という、擬人化されたニュアンスです。won’t を「〜しないだろう」とだけ覚えていると、この「どうしても〜しない」という拒絶の意味を読み違えてしまいます。
なお、will には推量や習慣を表す用法もあります。
- That will be the postman.(あれは郵便屋さんだろう)… 軽い推量
- He will sit there for hours.(彼は何時間もそこに座っているものだ)… 習慣
これらも「そうなると見定める」というコアの広がりですが、やや発展的な用法なので、ここでは「こうした使い方もある」と知っておけば十分です。
will の形 ― 短縮形と過去の would
最後に、will の形を整理しておきましょう。
短縮形
will と will not は、会話や書き言葉で、次のように短縮されます。
| もとの形 | 短縮形 | 例 |
|---|---|---|
| I will | I’ll | I**’ll** go.(行くよ) |
| will not | won’t | I won’t go.(行かない) |
will の短縮は ’ll(I’ll, you’ll, he’ll …)、will not の短縮は won’t です。won’t のつづりは will の形から少し離れているので、注意しておきましょう。
過去の would
will の過去形は would です。助動詞とはで見たとおり、would は単なる過去だけでなく、控えめなニュアンスを出すのにも使われます。
- 過去の習慣:When I was a child, I would play here.(子どものころ、よくここで遊んだものだ)
- 控えめな表現:I would like some coffee.(コーヒーをいただきたいのですが)… ていねいな希望
would like は、want(〜がほしい)をやわらかく、丁寧にした言い方で、日常でとてもよく使われます。助動詞 canで見た「could が丁寧な依頼になる」のと同じように、would も控えめ・丁寧の働きを持っています。would のくわしい使い方は、別の機会にあらためて扱います。
つまずきポイント
will で間違えやすい点を整理します。
つまずき1:後ろの動詞を原形にしない
助動詞とはの共通ルールどおり、will の後ろは原形です。
- 誤:She will goes. / It will rained tomorrow.
- 正:She will go. / It will rain tomorrow.
三単現の s や過去形を付けず、原形にします。主語が she でも、will のあとは原形 go です。
つまずき2:will と be going to を重ねる
未来を表す二つの形を、混ぜて使ってしまう誤りです。
- 誤:I will be going to call you.
- 正:I will call you. / I am going to call you.
will と be going to は、どちらも単独で未来を表します。重ねて使うことはできません。§5 を参考に、「今決めた」なら will、「前から」なら be going to と、どちらかを選びます。
つまずき3:will をすべて「〜だろう」と訳す
will を見るたびに「だろう」と訳してしまい、意志の意味を見落とす誤りです。
- I will help you.
これは「私が手伝うだろう」という予測ではなく、「私が手伝うよ」という意志です。§3 のとおり、主語が自分(I / we)で自分の行動を述べるときは、意志のことが多いと覚えておきましょう。
つまずき4:won’t を単なる未来否定だと思う
won’t を「〜しないだろう」とだけ覚えていると、拒絶のニュアンスを読み違えます。
- The door won’t open.
これは「ドアは開かないだろう」という予測ではなく、「ドアがどうしても開かない」という拒絶です。§6 のとおり、won’t には「どうしても〜しない」という強い拒否の意味があります。物が主語のときは、とくにこのニュアンスに注意しましょう。
まとめ早見表
will の意味は、「これから先そうする・そうなると、今見定める」というコアから、見定めの向かう先によって枝分かれします。
| 意味 | 見定めの向かう先 | 例文 |
|---|---|---|
| 意志(〜するつもり) | 自分の行動 | I will call you. |
| 未来・予測(〜だろう) | 物事の成り行き | It will rain. |
| 拒絶(どうしても〜しない) | 否定の行動(won’t) | The door won’t open. |
will と be going to は、次のように使い分けます。
| 表現 | ニュアンス |
|---|---|
| will | その場で決める・単なる見通し |
| be going to | 前から決めている・根拠がある |
形は、次のとおりです。
| 形 | 例 |
|---|---|
| 肯定(短縮) | I’ll, you’ll, he’ll … |
| 否定 | will not/won’t |
| 過去 | would |
will は、「するつもり」「だろう」「どうしてもしない」を別々に覚えるものではありません。根っこにあるのは、**「これから先そうする・そうなると、今の時点で見定める」**という一つのコアです。その見定めが、自分の行動に向かえば意志、物事の成り行きに向かえば未来・予測、そして否定で断固として見定めなければ拒絶(won’t)になります。「今、先を見定めている」── そう捉えれば、will の意味は一本につながります。
次に読むとよい記事
will は、助動詞のコアイメージから意味が広がる例の一つでした。関連する記事を合わせて確認しておきましょう。