第4文型にできない動詞 ― explain・suggest は「人に」を to で示す

explain や suggest が「人」を直接目的語にできない理由を、give 型との意味の差から理解する。第4文型にできない動詞の正しい形(V + 物 + to + 人)と、tell・say など紛らわしいペアまで reasoning-first で整理します。

「私に説明して」を explain me と言えない

「私にそのルールを説明して」を英語にするとき、こう言いたくなるかもしれません。

  • 誤:Please explain me the rule.

しかし、これは誤りです。正しくは、次のように言います。

  • 正:Please explain the rule to me.(私にそのルールを説明して)

explain は、「人」を直接後ろに置けません。「私に」は explain me ではなく、explain … to me と、to を使って表します。

不思議に思えるのは、よく似た意味の give なら、人を直接置けることです。

  • give me the book(私にその本をくれる)… give me と言える
  • 誤:explain me the rule(explain me とは言えない)

どちらも「人に〜を」という日本語になるのに、give は give me、explain は explain me と言えません。授与動詞と第4文型で学んだ第4文型(S V O O=「人に物を」)の形が、explain では使えないのです。なぜ、同じ「人に〜を」なのに、こんな違いが生まれるのでしょうか。

この記事では、まずなぜ explain 型は人を直接置けないのか(§2)を、動詞の意味の差から解き明かし、そうした動詞の一覧(§3)と正しい形(§4)、そして tell と say のように紛らわしいペア(§5)を整理していきます。

なぜ人を直接置けないのか ― 「手渡す」give 型と「差し出す」explain 型

give は人を直接置けるのに、explain は置けない。この違いは、動詞が表す「渡し方」のイメージの差から説明できます。

授与動詞と第4文型で、第4文型は「S から相手へ、何かが移動する」型だと見ました。give me the book なら、本が私の手に直接移動します。ここで大事なのは、give のイメージが「相手の手に、じかに手渡す」ものだという点です。直接わたす相手だからこそ、その人(me)を動詞のすぐ後ろに、目的語として置けるのです。

  • give me the book … 本を、私の手に「じかに手渡す」。だから me を直接置ける

一方、explain(説明する)や suggest(提案する)が表すのは、少し違うイメージです。これらは、情報や考えを「相手の方へ向けて差し出す」動作です。説明や提案は、相手の手に物理的に握らせるようなものではなく、相手に向かって発信されるものです。

  • explain the rule to me … ルール(情報)を、私の「方へ向けて」差し出す

この「相手の方へ向けて」というイメージが、到達点を表す前置詞 to と結びつきます。to と for の使い分けで見たとおり、to は「〜へ到達する」方向を表す前置詞でした。explain 型の動詞は、相手を「情報が向かう到達点」として捉えるので、その相手を to で示すのです。だから、人を直接目的語にする第4文型(explain me)にはできません。

イメージ相手の示し方
give 型相手の手にじかに手渡す直接目的語(人を置ける)give me the book
explain 型相手の方へ向けて差し出すto + 人(到達点)explain the rule to me

つまり、explain が人を直接置けないのは、覚えるしかない気まぐれな例外ではありません。「じかに手渡す」のか「相手の方へ差し出す」のかという、動詞の意味の差から来ているのです。

なるほどコラム:説明・提案の動詞は to を好む どの動詞が第4文型にでき、どの動詞ができないかには、語の由来も関係しています。give・tell・show・send のような、第4文型にできる動詞の多くは、古くから英語にある基本的な言葉です。一方、explain・suggest・describe・propose のように to を必要とする動詞には、ラテン語やフランス語から取り入れられた、ややかための言葉が目立ちます。こうした借り入れられた動詞は、「相手に向けて情報や考えを差し出す」という意味合いが強く、相手を to で示す形になじみました。厳密な線引きではありませんが、「説明・提案・描写といった、かたい意味の動詞は to を使いやすい」という傾向を知っておくと、迷ったときの手がかりになります。

第4文型にできない動詞の一覧

「人」を直接目的語にできず、to を使って相手を示す動詞を整理します。どれも「情報・考えを相手に向けて差し出す」タイプの動詞です。

動詞意味
explain説明する誤:explain me正:explain … to me
suggest提案する誤:suggest me正:suggest … to me
say言う誤:say me正:say … to me
describe描写する誤:describe me正:describe … to me
introduce紹介する誤:introduce me a friend正:introduce a friend to me
propose提案する誤:propose me正:propose … to me
announce知らせる誤:announce me正:announce … to me
mention言及する誤:mention me正:mention … to me

これらはすべて、§2 で見た「相手の方へ向けて差し出す」イメージの動詞です。説明する・提案する・描写する・知らせる ── どれも、相手に物をじかに手渡すというより、情報や考えを相手に向けて発信する動作です。だから、相手を to(到達点)で示します。

「人に〜を」という日本語につられて、つい explain me、suggest me と言ってしまいがちですが、これらの動詞では、人を動詞の直後に置けない ── そう覚えておきましょう。

正しい形 ― V + 物 + to + 人

第4文型にできない動詞は、「動詞 + 物(伝える内容)+ to + 人(相手)」の語順で使います。

  • I explained the rule to him.(私は彼にそのルールを説明した)
  • She suggested a new plan to us.(彼女は私たちに新しい計画を提案した)
  • He described the scene to me.(彼は私にその場面を描写した)

「何を(物・内容)」が先、「誰に(to + 人)」が後、という順番です。これは、授与動詞と第4文型to と for の使い分けで見た、第4文型を第3文型に書きかえた形(give a book to him)と同じ並びです。

give 型と explain 型を、並べて見比べてみましょう。

動詞「人に物を」の言い方
give(手渡す)give me the book / give the book to me(どちらも可)
explain(差し出す)explain the rule to meto me の形のみ)

give は、第4文型(give me the book)と、to を使った形(give the book to me)の両方が使えます。一方、explain は、第4文型(explain me the rule)が使えず、to を使った形だけになります。

  • give:give me the book / give the book to me(両方OK)
  • explain:explain me the rule / explain the rule to me(to の形だけ)

この違いを押さえれば、explain・suggest などの動詞でも、迷わず正しい形を作れます。「これらの動詞は、to を使った形しか持たない」── そう考えるとシンプルです。

紛らわしい動詞の整理 ― tell はよくて、say はダメ

ここで、多くの学習者がつまずくポイントを扱います。意味がよく似ているのに、第4文型にできる動詞とできない動詞があるのです。代表が、tell と say です。

  • tell(伝える・言う):tell me the truth(第4文型でOK)
  • say(言う):誤:say me the truth / 正:say the truth to me

どちらも「言う・伝える」という近い意味なのに、tell は人を直接置けて、say は置けません。なぜでしょうか。

§2 で見たイメージの差で考えると、説明がつきます。tell は「相手に内容を届ける」ことに重点があり、相手の存在が動作に組み込まれています(誰かに向かって「伝える」)。だから人を直接目的語にできます。一方 say は「言葉を発する」こと自体に重点があり、相手は必ずしも要りません(独り言でも say は使えます)。相手を示すときは、向けて言う先として to me とします。

似た意味で型が分かれるペアを、整理しておきましょう。

「人」を直接置ける(第4文型OK)to で相手を示す(第4文型不可)
tell me(伝える)say to me(言う)
teach me(教える)explain to me(説明する)
show me(見せる)describe to me(描写する)
give me(与える)introduce … to me(紹介する)

左の列(tell, teach, show, give)は、いずれも「相手にじかに届ける・手渡す」イメージの、古くからある基本的な動詞です。右の列(say, explain, describe, introduce)は、「相手に向けて差し出す」イメージで、to を使います。

意味だけで判断すると、teach(教える)と explain(説明する)のように、「どちらも知識を伝えるのに型が違う」ペアで混乱します。大切なのは、意味の近さではなく、動詞ごとの性質で決まるということです。とくに右の列の動詞(say, explain, suggest, describe, introduce …)は、第4文型にできない代表格として、左の列と区別して覚えておきましょう。

つまずきポイント

第4文型にできない動詞で、間違えやすい点を整理します。

つまずき1:explain / suggest の後ろに人を直接置く

いちばん多い誤りです。「人に〜を」の形で、人を動詞の直後に置いてしまいます。

  • 誤:Please explain me the situation.
  • 正:Please explain the situation to me.(私にその状況を説明して)

§4 のとおり、explain は「動詞 + 物 + to + 人」の形です。人を直接後ろに置けません。

つまずき2:say を tell と同じように使う

tell が第4文型にできるので、つられて say も同じように使ってしまう誤りです。

  • 誤:He said me that he was tired.
  • 正:He told me that he was tired. / He said to me that he was tired.(彼は私に疲れたと言った)

§5 のとおり、tell は人を直接置けますが、say は to が必要です。「言う」だから say、と短絡せず、「人に伝える」なら tell が使える、と整理しましょう。

つまずき3:日本語の「人に」に引きずられる

日本語の「私に説明して」「彼に提案する」という言い方に引きずられ、人を先に置こうとする誤りです。

  • 誤:suggest us a plan
  • 正:suggest a plan to us(私たちに計画を提案する)

日本語が「人に〜を」の順でも、explain 型の動詞では「〜を to 人」の順になります。日本語の語順をそのまま英語に移さないよう注意しましょう。

つまずき4:to を for にする

相手を示す前置詞を、for にしてしまう誤りです。

  • 誤:explain the rule for me
  • 正:explain the rule to me(私にそのルールを説明する)

explain 型の動詞は、相手を「情報が向かう到達点」として捉えるので、to を使います。to と for の使い分けで見たとおり、to は「到達」、for は「利益・目的」でした。ここは「相手に向けて差し出す」=到達点なので、to が正解です。

まとめ早見表

「人に〜を」と言いたいときの、動詞による形の違いを整理します。

タイプイメージ
give 型(第4文型OK)相手にじかに手渡すV + 人 + 物(to も可)give me the book
explain 型(第4文型不可)相手の方へ向けて差し出すV + 物 + to + 人explain the rule to me

第4文型にできない(to が必要な)代表的な動詞は、次のとおりです。

動詞動詞
explain(説明する)describe(描写する)
suggest(提案する)introduce(紹介する)
say(言う)propose(提案する)
mention(言及する)announce(知らせる)

迷ったときは、こう考えます。

  1. その動詞は、相手にじかに手渡すイメージか、相手の方へ向けて差し出すイメージか。
    • じかに手渡す(give, tell, show, teach …)→ 人を直接置ける(第4文型OK)
    • 向けて差し出す(explain, suggest, say …)→ to + 人で示す
  2. 迷う動詞(とくに説明・提案・描写などのかたい動詞)は、to を使う形にしておくと安全。

第4文型にできない動詞は、「explain は人を置けない」と例外として丸暗記するものではありません。根っこにあるのは、動詞が「じかに手渡す」のか「相手の方へ向けて差し出す」のかという、意味のイメージの差です。向けて差し出す動詞は、相手を「情報が向かう到達点」として捉えるので、to で示します。授与動詞と第4文型の「移動」のイメージを、もう一歩細かく見たものだと言えます。

次に読むとよい記事

この記事は、第4文型まわりの動詞の語法を深掘りするものでした。関連する記事を合わせて確認しておきましょう。