shall は「もう、あまり使わない」助動詞
助動詞 shall は、かつては「一人称(I / we)の未来は shall、それ以外は will」と、will と細かく使い分けるように教えられてきました。しかし、正直なところ ── 現代英語では、shall の出番はかなり限られています。
助動詞 willの記事で見たとおり、未来や意志は、今はほとんど will で表します。かつて shall が担っていた「単純未来」の役割は、will にほぼ譲られました。とくにアメリカ英語では、shall は古風で形式ばった響きがあるとされ、日常会話ではあまり使われません。
ですから、この記事の結論を先に言ってしまいます。shall で、今のあなたが実際に使うのは、ほぼ一つだけ ── 次の形です。
- Shall we dance?(踊りませんか?)
- Shall I open the window?(窓を開けましょうか?)
この Shall I ~? / Shall we ~?(〜しましょうか?)という、提案・申し出の形だけは、今も現役でよく使われます。それ以外の shall(単純未来や、規則の文での義務)は、「読んで意味がわかればよい」くらいの位置づけで十分です。
この記事では、まず shall のコアイメージ(§2)を押さえ、いちばん使う Shall I / Shall we(§3)、そして読めれば十分な古風な用法 ── 単純未来(§4)と、規則・契約の義務(§5)── を整理していきます。肩の力を抜いて読んでください。
shall のコアイメージ ― 「そうすることになっている」
shall の根っこにある意味を知るには、助動詞 shouldを思い出すのが近道です。should の記事で見たとおり、should は、もともと shall の過去形でした。そして shall(と should)の語源は、「(〜する義務・借りを)負っている」という意味の古い言葉です。
ここから、shall のコアが見えてきます。
そうすることになっている・そう仕向ける。
「そうする流れ・段取りになっている」という感覚です。should が、この「負っている」から「そうするのが当然・望ましい(助言)」へ進んだのに対し、その現在形である shall は、「そうすることになっている」という、もう少し直接的な段取り・取り決めの感覚を残しています。
このコアが、shall の二つの方向につながります。
- 「(一緒に・私が)そうすることにしようか?」と相手に持ちかける → 提案・申し出(Shall we ~?)
- 「そうすることになっている(だからそうせよ)」と定める → 規則・契約の義務(〜しなければならない)
どちらも「そうすることになっている」という段取りの感覚が根にあります。提案は「これからそうする段取りにしようか?」と相手に確認するもの、規則の義務は「そうする段取りだ(必ずせよ)」と上から定めるものです。一つずつ ── ただし、実際によく使うものを中心に ── 見ていきましょう。
なるほどコラム:shall と should、will と would 助動詞には、「現在形と過去形」のペアがいくつもあります。can ― could、may ― might、will ― would、そして shall ― should です。助動詞 wouldの記事で見たように、過去形(could / might / would)は「一歩引いた距離」を生み、丁寧さや仮定を表すのでした。shall ― should も同じペアですが、おもしろいことに、現代英語では過去形の should のほうが、現在形の shall よりずっとよく使われます。「助言・当然」を表す should は日常で活躍する一方、もとの shall は出番が減り、限られた場面に残るだけ ── 親(shall)より子(should)のほうが元気な、めずらしいペアなのです。
今いちばん使う ― Shall I ~? / Shall we ~?(提案・申し出)
shall で、現代でも現役なのが、この Shall I ~? / Shall we ~? という疑問文の形です。「〜しましょうか?」と、提案したり、申し出たりするときに使います。§2 のコア「そうすることにしようか?」が、相手への問いかけになったものです。
Shall we ~? ― 「(一緒に)〜しましょうか?」
Shall we ~? は、相手を誘って「一緒に〜しませんか?」と提案する形です。
- Shall we dance?(踊りませんか?)
- Shall we go out for lunch?(昼食に出かけましょうか?)
- Shall we start the meeting?(会議を始めましょうか?)
「私たち、これから一緒にそうすることにしようか?」と、相手に持ちかけるニュアンスです。これは、Let’s ~(〜しよう)と近い意味ですが、Shall we ~? のほうは疑問の形で、相手の意向をたずねる、ややていねいな響きがあります。
- Let’s dance.(踊ろう)… 誘いかけ
- Shall we dance?(踊りませんか?)… 相手の意向をたずねる提案
Shall I ~? ― 「(私が)〜しましょうか?」
Shall I ~? は、自分が何かをしてあげようと、申し出る形です。
- Shall I open the window?(窓を開けましょうか?)
- Shall I carry your bag?(かばんをお持ちしましょうか?)
- Shall I call a taxi for you?(タクシーを呼びましょうか?)
「私が、あなたのためにそうすることにしましょうか?」と、手助けを申し出るニュアンスです。相手を気づかう、親切でていねいな表現として、日常でよく使われます。
この Shall I ~? / Shall we ~? は、shall の中でいちばん生きている使い方です。「〜しましょうか?」と言いたくなったら shall、とだけ覚えておけば、shall の実用的な部分はほぼカバーできます。
古風な用法1 ― 単純未来の shall(〜だろう)
ここからは、「読んで意味がわかればよい」用法です。まず、単純未来の shall です。
かつては、一人称(I / we)の単純未来「〜だろう・〜することになる」を、shall で表しました。
- I shall return.(私は戻ってくるだろう/必ず戻る)
- We shall see.(今にわかるだろう)
しかし、助動詞 willで見たとおり、現在ではこの役割はほぼ will が担っています。I shall return. は、今では I will return. と言うのがふつうです。shall を単純未来で使うと、古風で、かたく、あらたまった響きになります。
ですから、この用法は「自分から使う」必要はありません。古い文章や、あらたまった演説などで I shall ~ / We shall ~ を見かけたら、「ああ、will の古風な言い方だな」と意味が取れれば十分です。We shall overcome.(私たちは打ち勝つだろう)のような、歴史的なフレーズで出会うこともあります。
古風・形式的な用法2 ― 規則・契約の義務(〜しなければならない)
もう一つ、知っておくと役立つのが、規則や契約の文での shall です。法律・契約書・規則といった、かたい文書の中で、shall は「〜しなければならない」という義務を表します。§2 のコア「そうすることになっている(だからそうせよ)」が、規則として定められた形です。
- The tenant shall pay the rent on the first day of each month.(借主は毎月1日に家賃を支払わなければならない)
- All visitors shall wear a badge.(来訪者は全員バッジを着用しなければならない)
これは、契約書や規約などで「義務」を厳密に定めるときの、決まった言い方です。日常会話で使うことはまずありませんが、英語の契約書や利用規約を読むときに出てくるので、「この shall は『〜しなければならない』という義務だ」と読み取れるようにしておくと役立ちます。
なお、この義務の shall は、書く必要に迫られることはほとんどありません。自分で「〜しなければならない」と言いたいときは、助動詞 mustや have to を使えば十分です。shall の義務は、あくまで「かたい文書で読むためのもの」と考えておきましょう。
整理ポイント ― shall とのつき合い方
shall は、これまでの助動詞(can / will / must など)とは少し違い、「無理に使おうとしなくてよい」助動詞です。つき合い方のポイントを整理します。
ポイント1:自分から使うのは Shall I / Shall we だけでよい
§3 で見たとおり、現代英語で自分から使うなら、Shall I ~? / Shall we ~?(〜しましょうか?)の形だけで十分です。それ以外の意味は、ほかの助動詞で言いかえられます。
- 単純未来(〜だろう)→ will を使う(I will go. / ×I shall go. は古風)
- 義務(〜しなければならない)→ must / have to を使う(You must go.)
「shall を使わなきゃ」と気負う必要はありません。提案・申し出の Shall we / Shall I 以外は、will や must にまかせましょう。
ポイント2:後ろの動詞は原形
助動詞とはの共通ルールどおり、shall も助動詞なので、後ろは原形です。
- 誤:Shall I opens the window?
- 正:Shall I open the window?
ポイント3:shall は I と we が中心
shall を使うのは、ほとんどが一人称(I / we)です。とくに提案・申し出の形は、Shall I ~? と Shall we ~? に限られます。Shall you ~? や Shall he ~? という形は、現代ではまず使いません。
- 正:Shall we go?(行きましょうか?)
- 不自然:Shall you go?(現代ではふつう使わない)
ポイント4:アメリカ英語では特に出番が少ない
shall は、イギリス英語では Shall we ~? などで今も使われますが、アメリカ英語では全体に避けられる傾向があります。アメリカ英語では、提案も Should we ~?(〜したほうがいい?)や Do you want to ~?(〜したい?)で言うことが多く、shall はいっそう「古風・形式的」な印象になります。どちらにしても、「shall は使う場面が限られる助動詞」と捉えておけば問題ありません。
まとめ早見表
shall の用法は、「現役で使うもの」と「読めれば十分なもの」に分けて捉えるのがおすすめです。
| 用法 | 意味 | 現代での扱い | 例文 |
|---|---|---|---|
| 提案・申し出 | 〜しましょうか? | 現役(自分でも使う) | Shall we dance? |
| 単純未来 | 〜だろう | 古風(will を使う) | I shall return. |
| 規則・契約の義務 | 〜しなければならない | 形式的(読むためのもの) | The tenant shall pay. |
shall とのつき合い方は、こう整理できます。
- 「〜しましょうか?」と提案・申し出をするとき → Shall I ~? / Shall we ~?(これは現役)
- 「〜だろう(未来)」→ will を使う(shall は古風)
- 「〜しなければならない(義務)」→ must / have to を使う(規則文の shall は読むため)
shall は、すべての用法を使いこなそうとしなくてよい助動詞です。根っこには「そうすることになっている」という段取りの感覚があり、そこから提案(一緒にそうしようか?)と義務(そうせよ)が出てきますが、現代の日常で本当に活躍するのは、提案・申し出の Shall we ~? / Shall I ~? です。あとは、古い文章や契約書で出会ったときに意味が取れれば十分 ── そう気軽に構えておきましょう。
次に読むとよい記事
shall は、will や should と関わりの深い助動詞でした。関連する記事を合わせて確認しておきましょう。
- 助動詞 will ― 単純未来の役割を、shall から引き継いだ助動詞。今の未来表現の中心
- 助動詞 should ― shall の過去形から生まれ、今では shall よりよく使われる「助言」の助動詞
- 助動詞とは ― 助動詞全体の共通ルールと、「判断を加える」という本質