次の2つの英文を、1つの文にまとめたいとします。
I have a friend.(私には友人がいる)
She lives in Tokyo.(彼女は東京に住んでいる)
こんなとき、英語では次のようにつなぎます。
I have a friend who lives in Tokyo.
(私には東京に住んでいる友人がいる)
ここで使われている who、これが関係詞です。2つ目の文の主語だった She が、who という形に変わって a friend の直後にくっつき、a friend を後ろから説明する形になっています。
「関係代名詞は先行詞が人ならwho、物ならwhich」——多くの参考書はここから説明を始めますが、これだけでは whom や whose がなぜ存在するのか、なぜ省略できる場合とできない場合があるのか、応用が利きません。この記事では、関係詞がそもそもどんな成り立ちを持つ言葉なのかから出発して、これらのルールを一つの視点でまとめて理解できるようにします。
関係詞の成り立ち―「つなぐ」+「代名詞」の二役
関係詞(relative pronoun)は、名前のとおり関係代名詞です。この名前の中に、関係詞の正体を解く鍵がすでに含まれています。
関係=2つの文を関係づける(=つなぐ)
代名詞=名詞の代わりをする
つまり関係詞は、接続詞としての働きと代名詞としての働きを、同時にひとりでこなす二役の言葉なのです。
先ほどの例文で確認してみましょう。
I have a friend who lives in Tokyo.
who は2つの役割を同時に果たしています。
接続詞の役割:I have a friend と(who)lives in Tokyo という2つの文をつなぐ
代名詞の役割:後ろの文の主語 She の代わりをする(= a friend を指す代名詞)
図で表すとこうなります。
I have a friend + She lives in Tokyo.
↓
I have a friend [who lives in Tokyo].
└─┬─┘
接続詞:つなぐ + 代名詞:she の代わり
説明される側の名詞(ここでは a friend)を先行詞、関係詞が導く後ろのまとまり(who lives in Tokyo)を関係詞節と呼びます。関係詞節は、まるごと1つの形容詞のように働き、先行詞を後ろから修飾しています。
なるほどコラム: 関係代名詞は、英語の歴史の中では比較的新しい仕組みです。古英語の時代には現在のような who/which の体系はまだ整っておらず、中英語期にかけて「先行する名詞を受けて、かつ節を導く」という二重の機能を持つ語として整理されていきました。もともと疑問詞であった who や which が、疑問文とは別に「つなぎの代名詞」としての役割を獲得していった過程は、英語の文構造がより複雑な情報を1文に詰め込めるように進化してきた歴史そのものと言えます。
この「代名詞としての役割」を強く意識することが、このあとの網羅セクションで扱うすべてのルール——主格・目的格・所有格の使い分け、省略できる・できない——を貫く土台になります。関係詞は接続詞である以前に、まず代名詞なのです。
格の使い分け―関係詞節の中でどんな役割を果たすか
関係詞が「代名詞」である以上、代名詞と同じように格(主格・目的格・所有格)による形の違いがあります。この格は、関係詞節の中でその関係詞が果たしている役割によって決まります。
主格:関係詞節の中で主語になる場合
I have a friend who lives in Tokyo.
(who は lives の主語)
who は関係詞節 lives in Tokyo の中で、動詞 lives の主語になっています。「元の文で主語だったものが関係詞に変わる」ケースです。
目的格:関係詞節の中で目的語になる場合
This is the book which I bought yesterday.
(which は bought の目的語)
元の文は I bought the book yesterday. であり、the book は bought の目的語でした。この the book が先行詞になり、代わりに置かれた which も、関係詞節の中で目的語の役割を果たしています。
所有格:先行詞の所有関係を表す場合
I know a girl whose father is a doctor.
(whose father=その女の子の父親)
元の文は Her father is a doctor. で、her(〜の)という所有格が whose という形に変わっています。whose は「先行詞のもの」という所有関係をそのまま関係詞節の中に持ち込みます。
先行詞の種類×格による対応表
| 先行詞 | 主格 | 目的格 | 所有格 |
|—|—|—|—|
| 人 | who | who(whom) | whose |
| 物・動物 | which | which | whose |
| 人・物どちらも | that | that | ― |
目的格の whom は、現代の会話ではほとんど who で代用されます。書き言葉や改まった文体では whom も使われますが、無理に使い分けようとする必要はありません。
that しか使えないケース
who / which の代わりに使える that ですが、逆に that しか使えない場面もあります。
先行詞に最上級(the best, the tallest など)が付くとき
先行詞に all, every, no, the only, the same などが付くとき
先行詞が人と物の両方を含むとき
This is the best movie that I have ever seen.
(これは私が今まで見た中で最高の映画だ)
He talked about the people and the places that he had visited.
(彼は訪れた人々や場所について話した)
これらのケースで that が好まれる背景には、that がもともと「特定のものを強く指し示す」指示詞に由来するという成り立ちがあります。最上級や all/every が付く先行詞は「他に類のない、特定の一つ」を強調する表現であるため、同じく特定性の強い that との相性がよいのです。
目的格の関係詞は省略できる
目的格で使われる関係詞(who(m) / which / that)は、しばしば省略されます。
This is the book which I bought yesterday.
→ This is the book I bought yesterday.(省略可)
なぜ省略できるのでしょうか。ここでも「関係詞=代名詞」という成り立ちが鍵になります。
目的格の関係詞は、関係詞節の中で目的語の役割を果たしています。ところが the book と I bought の間に何もなくても、the book(I bought)という並びを見れば、「the book を I bought した」という関係は文脈から十分に読み取れます。代名詞としての情報(=先行詞を指しているという情報)が、語順だけですでに伝わってしまうため、あえて言葉にしなくても意味が通るのです。
一方、主格の関係詞は省略できません。
誤:I have a friend lives in Tokyo.
正:I have a friend who lives in Tokyo.
who を省略すると、a friend lives in Tokyo という並びになり、a friend が lives の主語なのか、あるいは前の文の続きなのか、文の構造そのものが崩れてしまいます。主語は文の骨格を作る要素であるため、省略すると文が成立しなくなるのです。
| 格 | 省略できるか | 理由 |
|—|—|—|
| 主格 | 不可 | 主語がないと文の構造が崩れる |
| 目的格 | 可 | 語順だけで関係が読み取れる |
| 所有格(whose) | 不可 | 所有関係を示す語がないと意味が通らない |
つまずきポイント
① 主格の who/which を誤って省略してしまう
誤:I have a friend lives in Tokyo.
正:I have a friend who lives in Tokyo.
主語の役割を持つ関係詞は省略できません。「関係詞は省略できる」という情報だけが先に頭に入っていると、この誤りが起きやすくなります。省略できるのはあくまで目的格のときだけ、という条件を必ずセットで覚えておきましょう。
② whose を「誰の」という疑問詞の感覚のまま使ってしまう
誤:I know a girl who father is a doctor.
正:I know a girl whose father is a doctor.
who と whose は似た形をしていますが、役割はまったく異なります。who は主語や目的語の代わり、whose は「〜の」という所有関係を表す代わりです。whose の後ろには必ず名詞(father, house, name など)が続く点を確認する癖をつけると、取り違えを防げます。
③ 先行詞と関係詞節の間に情報を挟みすぎて構造を見失う
The man who I met at the party last week and who works at a bank called me.
このように関係詞節が長くなると、どこまでが関係詞節で、どこから主節(本来の動詞)が始まるのか分かりにくくなります。読むときは、まず先行詞(The man)を見つけたら、それに対応する動詞(この文では called)がどこにあるかを先に探すと、関係詞節の範囲を見失わずに済みます。書くときも、関係詞節が長くなりすぎる場合は、文を2つに分けることを検討しましょう。
④ 関係詞節の中に、すでに指している名詞や代名詞を重ねて書いてしまう
誤:This is the book which I bought it yesterday.
正:This is the book which I bought yesterday.
which がすでに the book の代わりをしているため、関係詞節の中に it を重ねて置くと、the book を二重に指してしまうことになります。関係詞は「代名詞」としてすでに1つの名詞の役割を担っている、という成り立ちを思い出せば、この誤りは避けられます。
まとめ早見表
関係詞の二役
| 役割 | 内容 |
|—|—|
| 接続詞 | 2つの文をつなぐ |
| 代名詞 | 先行詞の代わりに、関係詞節の中で主語・目的語・所有格として働く |
先行詞の種類×格による対応表
| 先行詞 | 主格 | 目的格 | 所有格 |
|—|—|—|—|
| 人 | who | who(whom) | whose |
| 物・動物 | which | which | whose |
| 人・物どちらも | that | that | ― |
that しか使えない主なケース
| 条件 | 例 |
|—|—|
| 先行詞に最上級が付く | the best movie that … |
| 先行詞に all/every/no/the only/the same が付く | all the people that … |
| 先行詞が人と物の両方 | the people and the places that … |
省略の可否
| 格 | 省略できるか | 理由 |
|—|—|—|
| 主格 | 不可 | 主語がないと文の構造が崩れる |
| 目的格 | 可 | 語順だけで関係が読み取れる |
| 所有格(whose) | 不可 | 所有関係を示す語がないと意味が通らない |
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