否定文・疑問文は「動詞」をいじる
英語を話したり書いたりするとき、「〜ではない」と打ち消したり、「〜ですか?」とたずねたりする場面は欠かせません。前者が否定文、後者が疑問文です。
- 肯定文:You are busy.(あなたは忙しい)
- 否定文:You are not busy.(あなたは忙しくない)
- 疑問文:Are you busy?(あなたは忙しいですか?)
ふつうの文(肯定文)を、否定文や疑問文に作りかえる ── このとき英語で何が起きているかを見ると、**操作の中心はいつも「動詞」**だと分かります。上の例でも、動かしたり not を付けたりしているのは are(be動詞)です。
ところが、ここで多くの学習者がつまずきます。同じ否定文・疑問文でも、be動詞の文と一般動詞の文とで、作り方が違うのです。
- be動詞の文:You are busy. → Are you busy?
- 一般動詞の文:You play tennis. → Do you play tennis?
be動詞の文では are をそのまま前に出すのに、一般動詞の文では、どこにもなかった do が突然あらわれています。なぜ一般動詞のときだけ do が要るのでしょうか。これを「be動詞のときはこう、一般動詞のときはこう」と二つ別々に丸暗記すると、混乱のもとになります。
実は、この違いには一本の筋が通っています。それは ── be動詞は自分で動けるが、一般動詞は自分で動けないので、do という助っ人を借りる、という考え方です。この記事では、まずこの根本の仕組み(§2)を押さえ、be動詞の場合(§3)、一般動詞の場合(§4)、そして三単現・過去との噛み合わせ(§5)を、すべて同じ理屈で整理していきます。
なお、この記事は Yes / No で答えられる基本の否定文・疑問文に集中します。What や Where などの疑問詞を使った疑問文(WH疑問文)は、別の記事で扱います。
なぜ作り方が違うのか ― be動詞は動ける、一般動詞は動けない
否定文・疑問文の作り方が二通りに分かれるのは、be動詞と一般動詞の性質が根本的に違うからです。
be動詞の基本と一般動詞の基本の記事で見たように、英語の動詞は大きく二種類に分かれます。be動詞(am / is / are など、「〜だ」と状態を表す)と、一般動詞(play / like / go など、「〜する」と動作を表す)です。否定文・疑問文を作るとき、この二つはまったく違うふるまいをします。
be動詞は、自分一人で動けます。 否定文なら自分の後ろに not を従え、疑問文なら自分が文の先頭へ動く ── こうした操作を、be動詞は他の助けを借りずにこなせます。
- 否定:He is kind. → He is not kind.(is の後ろに not)
- 疑問:He is kind. → Is he kind?(is が文頭へ)
ところが一般動詞は、自分では動けません。 not を従えることも、文頭へ動くこともできないのです。そこで一般動詞は、do という「助っ人」を呼び、その do に否定・疑問の操作を肩代わりしてもらいます。
- 否定:I play tennis. → I do not play tennis.(do が not を従える)
- 疑問:I play tennis. → Do I play tennis?(do が文頭へ動く)
ここで do がやっていることは、be動詞が自分でやっていたこと(not を従える・文頭へ動く)と、まったく同じです。一般動詞にはその力がないので、代わりに do が前に出て、操作を引き受けているわけです。
つまり、否定文・疑問文の作り方を分けているのは、たった一つの問いです。
その文の動詞は、be動詞か、一般動詞か。
- be動詞 → 自分で動く(do は要らない)
- 一般動詞 → do という助っ人を借りる
この一点さえ押さえれば、二通りの作り方は「別々のルール」ではなく、「自分で動けるか、助っ人が要るか」という一つの違いから生まれていると分かります。
なるほどコラム:be動詞はなぜ特別なのか/do は何者か be動詞だけが自分で動けるのは、be動詞が「動作」を表さず「状態(〜である)」を表すだけの、特別な動詞だからです。この性質のおかげで、be動詞は can や will といった助動詞と同じような身軽な動き(後ろに not、文頭へ移動)ができます。一方、否定・疑問のために呼ばれる do は、「何の意味も足さない、操作のためだけの代理の動詞」です。本来 do は「する」という意味の一般動詞ですが、この用法の do には「する」の意味はありません。一般動詞の代わりに前に出て、否定や疑問の役割だけを引き受ける ── いわば、動けない本動詞のための代走のような存在です。
be動詞の否定文・疑問文
まず、自分で動ける be動詞から見ていきましょう。be動詞(am / is / are)の否定文・疑問文は、do を使いません。be動詞自身が操作をこなします。
否定文 ― be動詞の後ろに not
否定文は、be動詞のすぐ後ろに not を置くだけです。
| 肯定文 | 否定文 | 短縮形 |
|---|---|---|
| I am busy. | I am not busy. | I’m not busy. |
| He is kind. | He is not kind. | He isn’t kind. |
| They are here. | They are not here. | They aren’t here. |
is not → isn’t、are not → aren’t のように短縮形がよく使われます(am not には短縮形がなく、I’m not の形を使います)。
疑問文 ― be動詞を文頭に出す
疑問文は、be動詞を主語の前(文頭)に動かします。
| 肯定文 | 疑問文 |
|---|---|
| You are busy. | Are you busy? |
| She is a teacher. | Is she a teacher? |
| They are ready. | Are they ready? |
答えるときも be動詞を使います。
- Are you busy? ― Yes, I am. / No, I’m not.
- Is she a teacher? ― Yes, she is. / No, she isn’t.
否定も疑問も、be動詞が自分で「not を従える」「文頭へ動く」をこなしている ── do の出番はありません。
一般動詞の否定文・疑問文 ― do を借りる
次に、自分では動けない一般動詞です。ここが、この記事のいちばんの核心になります。一般動詞は、否定文・疑問文を作るとき do という助っ人を借ります。
否定文 ― do not(don’t)+ 動詞の原形
一般動詞の否定文は、動詞の前に do not(don’t) を置きます。
| 肯定文 | 否定文 | 短縮形 |
|---|---|---|
| I play tennis. | I do not play tennis. | I don’t play tennis. |
| They live here. | They do not live here. | They don’t live here. |
| We know him. | We do not know him. | We don’t know him. |
§2 で見たとおり、一般動詞は自分で not を従えられないので、代わりに do が前に出て not を従えています。
疑問文 ― Do + 主語 + 動詞の原形
疑問文は、do を文頭に置き、そのあとに「主語 + 動詞の原形」を続けます。
| 肯定文 | 疑問文 |
|---|---|
| You play tennis. | Do you play tennis? |
| They live here. | Do they live here? |
| You know him. | Do you know him? |
答え方も do を使います。
- Do you play tennis? ― Yes, I do. / No, I don’t.
なぜ動詞が「原形」に戻るのか
ここで、見落としやすいけれど大切なポイントがあります。do を使うと、後ろの一般動詞は必ず「原形」になるのです。
- I play tennis. → Do you play tennis?(plays や played ではなく、原形 play)
なぜでしょうか。それは、do が「人称・時制」の役割を肩代わりするからです。動詞は本来、主語や時制に合わせて形を変えます(三人称単数なら plays、過去なら played)。ところが否定文・疑問文では、助っ人の do が前に出て、その「主語・時制に合わせる」役割を引き受けます。すると、後ろの本動詞はもう形を変える必要がなくなり、いちばん素の形 ── 原形 ── に戻るのです。
- 役割を引き受けるのは do、本動詞は原形で待機する
この「do が変化を引き受け、本動詞は原形に戻る」という仕組みは、次の §5 で見る三単現(does)や過去(did)でこそ、本当の威力を発揮します。ここでは「do を使ったら、後ろの動詞は原形」とだけ、しっかり押さえておきましょう。
三単現・過去との噛み合わせ
§4 で「do が人称・時制を肩代わりするので、本動詞は原形に戻る」と見ました。この仕組みは、三人称単数(三単現)や過去の否定文・疑問文で、はっきりと目に見える形であらわれます。ここを理解すると、否定文・疑問文の理屈がひとつにつながります。
三単現 ― does を使う
主語が三人称単数(he / she / it など)のとき、一般動詞には s が付きました(He plays.)。この文を否定文・疑問文にすると、do ではなく does を使います。
- He plays tennis.
- 否定:He doesn’t play tennis.(plays ではなく原形 play)
- 疑問:Does he play tennis?(同じく原形 play)
ここで注目してほしいのは、本動詞から s が消えて、原形 play に戻っていることです。なぜでしょうか。それは、もともと本動詞に付いていた「三単現の s(=主語が三人称単数だという印)」を、助っ人の does が引き取ったからです。does の -es が、その印にあたります。
- He plays. … s は本動詞が持っている
- He doesn’t play. … s の役割は does(does)が引き取り、本動詞は原形に戻る
印は一か所にあれば十分なので、does が引き取ったぶん、本動詞は原形でよくなるのです。三単現の基本で学んだ s が、否定文・疑問文では does に移動する、と考えると分かりやすいでしょう。
過去 ― did を使う
過去の文も、同じ仕組みです。過去の一般動詞(played)を否定文・疑問文にするときは、did を使います。
- He played tennis.
- 否定:He didn’t play tennis.(played ではなく原形 play)
- 疑問:Did he play tennis?(同じく原形 play)
ここでも、本動詞は過去形 played ではなく、原形 play に戻っています。これも理屈は同じで、「過去だという印」を助っ人の did が引き取ったからです。did は do の過去形で、これ自体が「過去」を表しています。だから本動詞はもう過去形である必要がなく、原形に戻ります。
- He played. … 過去の印は本動詞が持っている
- He didn’t play. … 過去の印は did が引き取り、本動詞は原形に戻る
一つの理屈でつながる
三単現の s も、過去の ed も、否定文・疑問文では助っ人(does / did)がその役割を引き取り、本動詞は原形に戻る。まったく同じ仕組みです。
| 種類 | 肯定文 | 否定文 | 引き取るもの |
|---|---|---|---|
| 現在(一般) | I play | I don’t play | (人称・時制を do が担当) |
| 三単現 | He plays | He doesn’t play | s を does が引き取る |
| 過去 | He played | He didn’t play | ed を did が引き取る |
do / does / did のどれを使うかは「人称と時制」で決まりますが、いずれの場合も本動詞は原形に戻るという点は共通です。「助っ人が変化を引き受けるから、本動詞は素の形でよい」── この一本の理屈が、すべてを貫いています。
つまずきポイント
否定文・疑問文で間違えやすい点を整理します。多くは「be動詞か一般動詞か」と「do を使ったら原形」を意識すれば防げます。
つまずき1:一般動詞の否定・疑問で do を使わない
一般動詞なのに、be動詞のように not を直接付けたり、動詞を文頭に出したりする誤りです。
- 誤:I not play tennis. / Play you tennis?
- 正:I don’t play tennis. / Do you play tennis?
§2 のとおり、一般動詞は自分で動けないので、do という助っ人が必要です。
つまずき2:be動詞の文に do を使う
逆に、be動詞の文なのに do を持ち込んでしまう誤りです。
- 誤:Do you are busy?
- 正:Are you busy?
be動詞は自分で動けるので、do は要りません。do を使うのは一般動詞のときだけです。
つまずき3:does / did の後ろを原形にし忘れる
助っ人を使ったのに、本動詞の s や ed を残してしまう誤りです。これがいちばん多いつまずきです。
- 誤:He doesn’t plays. / He didn’t played.
- 正:He doesn’t play. / He didn’t play.
§5 のとおり、s や ed の役割は does / did が引き取っています。本動詞は原形に戻すのが正解です。「助っ人を出したら、本動詞は原形」と覚えましょう。
つまずき4:疑問文の語順を間違える
do を使う疑問文の語順は、「Do + 主語 + 動詞の原形」です。
- 誤:Do play you tennis?
- 正:Do you play tennis?(do → 主語 → 原形)
do を文頭に置いたら、次は主語、そのあとに動詞の原形、という順序を守りましょう。
まとめ早見表
否定文・疑問文の作り方を一覧で整理します。基準はつねに「be動詞か、一般動詞か」です。
| 否定文 | 疑問文 | |
|---|---|---|
| be動詞 | be動詞 + not(isn’t など) | be動詞を文頭へ(Is he ~?) |
| 一般動詞(現在) | don’t + 原形 | Do + 主語 + 原形 |
| 一般動詞(三単現) | doesn’t + 原形 | Does + 主語 + 原形 |
| 一般動詞(過去) | didn’t + 原形 | Did + 主語 + 原形 |
作り方を選ぶときは、次の順で考えます。
- その文の動詞は、be動詞か、一般動詞か。
- be動詞 → 自分で動ける。否定は後ろに not、疑問は文頭へ。do は使わない。
- 一般動詞 → do という助っ人を借りる。
- 一般動詞なら、人称と時制で do の形を選ぶ。
- 現在(一般)→ do、三単現 → does、過去 → did
- 助っ人を使ったら、本動詞は必ず原形に戻す。
否定文・疑問文は、be動詞用・一般動詞用の二つを別々に丸暗記するものではありません。根っこにあるのは、**「be動詞は自分で動ける、一般動詞は do という助っ人を借りる」**という一つの違いです。そして、助っ人(do / does / did)が人称・時制の役割を引き受けるからこそ、本動詞は原形に戻ります。この仕組みが見えれば、現在も三単現も過去も、すべて同じ考え方で作れるようになります。
次に読むとよい記事
否定文・疑問文は、動詞の性質(be動詞か一般動詞か)が土台になっていました。基礎を合わせて確認しておきましょう。