助動詞 may ― 「してよい・かもしれない」と認める

助動詞 may の許可と推量という意味を「そうしてよい・そうかもしれないと認める」というコアイメージから理解する。can との違い、must・should・might を含む推量の確信度スケールまで reasoning-first で整理します。

may は「認める」の一語

助動詞 may は、「〜してもよい」と習うのが定番です。しかし may には、もう一つ大事な意味があります。

  • You may sit here.(ここに座ってよろしい)… 許可
  • It may rain this afternoon.(午後は雨が降るかもしれない)… 推量

「〜してよい(許可)」と「〜かもしれない(推量)」── ずいぶん違う意味に見えます。しかし、助動詞 can助動詞 must助動詞 shouldの記事で見たように、一つの助動詞が複数の意味を持つのは、その助動詞のコアイメージが場面によって違う方向にあらわれるからでした。

may も同じです。許可も推量も、たった一つのコア ── 「そうしてよい・そうかもしれないと、認める」── から枝分かれしています。

この記事では、まず may のコアイメージ(§2)を押さえ、許可(§3)と推量(§4)の意味、そして推量の助動詞を確信の強さで一望する確信度スケール(§5)、否定や might(§6)を整理していきます。

may のコアイメージ ― 「認める・許す」

may の根っこにある意味は、一つです。

そうしてよい・そうかもしれない、と認める(妨げがなく、開かれている)。

「そこに妨げはない、開かれている」と認める気持ち ── これが may のコアです。扉を開けて「どうぞ」と通す、あるいは「その可能性はある」と認める、そんなイメージです。そして、その「認める」がどこに向かうかで、意味が枝分かれします。

  • 認めるのが、相手の行為に向かう → 「そうしてよい」=許可(〜してもよい)
  • 認めるのが、事実の可能性に向かう → 「そうかもしれない」=推量(〜かもしれない)

どちらも「認める・妨げがない」点では同じです。その矛先が、「相手がそうする行為」なら許可に、「そうである可能性」なら推量になる、というだけです。

  • You may go.(行くことを認める)… 許可
  • It may be true.(本当である可能性を認める)… 推量

「妨げなく開かれていると認める。それが行為か、可能性か」── この一点で、may の意味は整理できます。

なるほどコラム:may と can は親戚だった may は、古い英語の magan(力がある・できる)という動詞からきています。実は、これは can の古い意味「(やり方を)知っている・できる」と、近い親戚にあたります。もともと「〜する力がある・可能だ」という似た領域から出発した二つの語が、長い歴史の中で役割を分け合い、can は「可能・能力」を、may は「許可・推量」を、それぞれ受け持つようになりました。許可の意味で can と may が今も重なるのは(You can go. / You may go.)、この共通の出発点の名残ともいえます。may のほうが、より「正式に認める」というあらたまった響きを残しているのが特徴です。

意味1 ― 許可(〜してよい)

一つめの意味は、「〜してよい」という許可です。これは、§2 で見た「認める」が、相手の行為に向かった場合です。「そうすることを認める・許す」という気持ちを表します。

  • You may sit here.(ここに座ってよろしい)
  • You may leave now.(もう退出してよろしい)
  • May I come in?(入ってもよろしいですか?)

「その行為に妨げはない、許す」と認めるのが、許可の may です。

can との違い ― 正式に「許す」may、くだけた can

助動詞 canの記事で見たとおり、許可は can でも表せます。may と can には、ニュアンスの違いがあります。

  • You can go.(行っていいよ)… くだけた、ふつうの許可
  • You may go.(行ってよろしい)… 正式で、丁寧な許可

can が日常的でくだけた許可なのに対し、may は「正式に許可を与える」という、あらたまった響きを持ちます。先生が生徒に、上司が部下に、というような場面や、ていねいに振る舞いたいときに may が好まれます。

とくに、許可をたずねるときに、この差がよく出ます。

  • Can I ~?(〜してもいい?)… 気軽な聞き方
  • May I ~?(〜してもよろしいですか?)… ていねいな聞き方

May I help you?(お手伝いしましょうか?)のような接客の決まり文句で may が使われるのは、この「ていねいに許可をたずねる」用法です。

意味2 ― 推量(〜かもしれない)

二つめの意味は、「〜かもしれない」という推量です。これは、「認める」が、事実の可能性に向かった場合です。「そうである可能性を認める」ことで、推量を表します。

  • It may rain this afternoon.(午後は雨が降るかもしれない)
  • He may be at home.(彼は家にいるかもしれない)
  • She may know the answer.(彼女は答えを知っているかもしれない)

「そうかもしれないし、そうでないかもしれない」── may の推量は、半々くらいの、確信の強すぎない推量です。「その可能性はある(と認める)」というイメージで、断定はしていません。

ここで気をつけたいのは、これまで見てきた推量の助動詞 ── must(〜に違いない)、should(当然〜のはず)── と、確信の強さが違うことです。may は、それらより確信が弱い推量を表します。この強さの違いを、次の §5 で一枚に整理しましょう。

推量の確信度スケール

ここまで、いくつかの記事で、助動詞の「推量」の意味を見てきました。must(〜に違いない)、should(当然〜のはず)、may(〜かもしれない)、そして can’t(〜のはずがない)です。これらは、**どれくらい強く「そうだ」と思っているか(確信の度合い)**が、それぞれ違います。一枚の表にまとめると、推量の助動詞の地図が完成します。

助動詞推量の意味確信の度合い
must〜に違いないとても強い(ほぼ確実にそう)
should当然〜のはず強い(筋から考えて当然そう)
may〜かもしれない半々(そうかもしれない)
might(may より)〜かもしれない弱い(ひょっとすると)
can’t〜のはずがないゼロ(そうではあり得ない)

上から下へ、「絶対そうだ」から「絶対そうでない」へと、確信が下がっていきます。同じ「彼は疲れている」という推測でも、助動詞を変えるだけで、確信の強さを細かく表し分けられます。

  • He must be tired.(疲れているに違いない)… ほぼ確実
  • He should be tired.(当然疲れているはず)… 筋から考えて
  • He may be tired.(疲れているかもしれない)… 半々
  • He might be tired.(ひょっとすると疲れているかも)… 低い可能性
  • He can’t be tired.(疲れているはずがない)… あり得ない

このスケールを押さえておくと、「どれくらい確信があるか」に応じて、助動詞を選べるようになります。may は、ちょうど真ん中あたり ──「そうかもしれない」という、五分五分の可能性を認める位置にあります。助動詞 mustの強い確信、助動詞 shouldの「当然のはず」と並べて、その違いを感じてみてください。

否定 may not と、might

否定 ― may not(二つの意味)

may の否定は may not です。これは、§2 で見た二つの意味に応じて、二通りに働きます。

  • 許可の否定 → 「〜してはいけない」(不許可)

  • 推量の否定 → 「〜でないかもしれない」(推量の否定)

  • You may not enter this room.(この部屋に入ってはいけない)… 不許可

  • He may not come today.(彼は今日来ないかもしれない)… 推量の否定

同じ may not でも、許可の文脈なら「認めない=してはいけない」、推量の文脈なら「そうでないかもしれない」になります。どちらの意味かは、文脈で判断します。なお、許可の否定 may not(してはいけない)は、助動詞 mustの must not(してはいけない)と近い意味になります。

might ― may の控えめな形

may には、might という、よく似た助動詞があります。might は、もともと may の過去形にあたる形ですが、現在のことについて「may より弱い・控えめな推量」を表すのに、よく使われます。

  • It may rain.(雨が降るかもしれない)… 半々くらい
  • It might rain.(ひょっとすると雨が降るかも)… もう少し低い可能性

§5 の確信度スケールでも見たとおり、might は may より一段下の、低い可能性を表します。「過去形」と聞くと過去のことのように思えますが、might は現在の弱い推量に使われることがほとんどです。助動詞 canの could や、助動詞 willの would と同じように、過去形の形が「控えめ」の働きを持つ一例です。

つまずきポイント

may で間違えやすい点を整理します。

つまずき1:may を「してよい」だけだと思う

may を許可の意味だけで覚えていると、推量の may を見落とします。

  • She may be busy.

これは「彼女は忙しくてよい(許可)」ではなく、「彼女は忙しいかもしれない(推量)」です。§4 のとおり、may には「〜かもしれない」という推量の意味があります。主語が三人称で、許可の場面でなければ、推量を疑いましょう。

つまずき2:後ろの動詞を原形にしない

助動詞とはの共通ルールどおり、may の後ろは原形です。

  • 誤:It may rains. / He may knew it.
  • 正:It may rain. / He may know it.

三単現の s や過去形を付けず、原形にします。

つまずき3:may not の二つの意味を取り違える

may not を、いつも「してはいけない」と訳してしまう誤りです。

  • He may not be home.

これは「彼は家にいてはいけない(不許可)」ではなく、「彼は家にいないかもしれない(推量の否定)」です。§6 のとおり、may not には「不許可」と「推量の否定」の二つがあります。文脈で見分けましょう。

つまずき4:might を「過去」だと思い込む

might を見たら過去、と決めつける誤りです。

  • I might go to the party.

これは「パーティーに行けたかもしれない(過去)」ではなく、「ひょっとするとパーティーに行くかもしれない(現在の弱い推量)」です。§6 のとおり、might は現在の控えめな推量によく使われます。

まとめ早見表

may の意味は、「そうしてよい・そうかもしれないと認める」というコアから、認める矛先によって枝分かれします。

意味認める矛先例文
許可(〜してよい)相手の行為You may go.
推量(〜かもしれない)事実の可能性It may rain.

許可の may と can は、次のように使い分けます。

表現ニュアンス
canくだけた、ふつうの許可
may正式で、ていねいな許可

推量の may は、確信度スケールの真ん中あたりに位置します。

助動詞確信の度合い
mustほぼ確実(〜に違いない)
should当然そう(〜のはず)
may半々(〜かもしれない)
might低い(ひょっとすると)
can’tゼロ(〜のはずがない)

may は、「してよい」「かもしれない」を別々に覚えるものではありません。根っこにあるのは、**「そうしてよい・そうかもしれないと認める」**という一つのコアです。その「認める」が、相手の行為に向かえば許可、事実の可能性に向かえば推量になります。「妨げなく開かれていると認めている」── そう捉えれば、may の意味は一本につながります。

次に読むとよい記事

may は、助動詞のコアイメージから意味が広がる例の一つでした。関連する記事を合わせて確認しておきましょう。

  • 助動詞とは ― 助動詞全体の共通ルールと、「判断を加える」という本質
  • 助動詞 can ― 許可・推量で may と重なる助動詞。くだけた can と正式な may の違い
  • 助動詞 must ― 「〜に違いない」という、may より強い推量を表す助動詞
  • 助動詞 would ― 同じく過去形が「距離・丁寧」を生む助動詞。will の過去形 would