「〜するために」を付け足す
不定詞とはの記事で見た三つの用法のうち、この記事では最後の一つ ── 動詞を副詞のように使う副詞的用法を扱います。
副詞的用法の不定詞は、いちばん代表的な意味が「〜するために」です。
- I came to see you.(私はあなたに会うために来た)
- She went to the library to study.(彼女は勉強するために図書館へ行った)
I came(来た)という動詞に、to see you(あなたに会うために)が付いて、「なぜ来たのか」という理由・目的を付け足しています。「来た」だけでは、その狙いがわかりませんが、to see you を足せば、「会うために来た」と、行動の目的がはっきりします。
これまで見てきた用法と比べてみましょう。
- 名詞的用法:I like to read.(読むことが好き)… 「〜すること」(名詞)
- 形容詞的用法:a book to read(読むべき本)… 「〜すべき」(名詞を修飾)
- 副詞的用法:I came to read.(読むために来た)… 「〜するために」(動詞を修飾)
同じ to read でも、働きが違います。副詞的用法では、不定詞が動詞などを説明する、副詞のような役割を果たします。
この記事では、まず副詞的用法のコア(§2)を押さえ、中心となる「目的」(§3)、そこから広がる「感情の原因」(§4)、「結果・判断の根拠」(§5)、そして最後に、まぎらわしい三用法の見分け方(§6)を整理していきます。
副詞的用法のコア ― 副詞のように修飾する、中心は「目的」
副詞的用法を理解する鍵は、二つあります。「何を修飾するか」と「中心の意味は何か」です。
まず、何を修飾するか。品詞の記事で見たとおり、副詞は、動詞・形容詞・文全体などを説明する語でした(名詞を説明する形容詞とは、この点が違います)。副詞的用法の不定詞も、まさにこの副詞の働きをします。動詞(came など)や形容詞(glad など)に、意味を付け足すのです。
次に、中心の意味。副詞的用法にはいくつかの意味がありますが、その**中心は「目的(〜するために)」**です。そして、この「目的」は、不定詞とはで見た to のコアから、まっすぐ出てきます。
不定詞の to は「→(これから向かう)」というイメージでした。ある動作をしたとき、「これから何へ向かってそうするのか」── その向かう先=狙いが、そのまま「目的」になります。
- I came to see you.(会うことへ向かって、来た=会うために来た)
- I study to pass the exam.(合格することへ向かって、勉強する=合格するために勉強する)
「来る」「勉強する」という動作が、「会う」「合格する」という先へ向かっている ── この「→(向かう先)」が、行動の目的なのです。ハブで見た to のコアが、副詞的用法では「目的」として姿をあらわす、と考えるとよいでしょう。
そして、副詞的用法のほかの意味(感情の原因・結果・判断の根拠)も、この「→(向かう・向かった)」の感覚から広がっていきます。まず中心の「目的」から見ていきましょう。
意味1 ― 目的(〜するために)
副詞的用法の中心が、この「〜するために」という目的です。ある動作を「何のためにするのか」を、不定詞で示します。
- I went to the store to buy some milk.(牛乳を買うために店へ行った)
- He studies hard to become a doctor.(医者になるために一生懸命勉強する)
- She stood up to greet the guests.(客を迎えるために立ち上がった)
went(行った)、studies(勉強する)、stood up(立ち上がった)── これらの動作の「狙い」を、to buy / to become / to greet が示しています。§2 で見たとおり、動作が「その目的へ向かう(→)」という関係です。
目的をはっきりさせる in order to / so as to
目的の意味を、もっと明確にしたいときは、in order to や so as to を使います。どちらも「〜するために」という意味で、ただの to より、目的であることをはっきり示します。
- I got up early in order to catch the first train.(始発に乗るために早起きした)
- He spoke slowly so as to be understood.(理解してもらうためにゆっくり話した)
ふつうは to だけで十分ですが、「目的だ」と強調したいときや、かたい文章では in order to / so as to が使われます。to buy を in order to buy と言いかえられる、と覚えておけば、「この to は目的だな」と見分ける手がかりにもなります。
意味2 ― 感情の原因(〜して)
副詞的用法は、感情の原因も表します。「〜して(うれしい・驚いた)」のように、その感情が何によって引き起こされたかを示す用法です。
- I’m glad to see you.(あなたに会えてうれしい)
- She was surprised to hear the news.(その知らせを聞いて驚いた)
- We were happy to help.(お手伝いできてうれしかった)
glad(うれしい)、surprised(驚いた)、happy(幸せな)といった、感情を表す形容詞の後ろに不定詞が来て、「何を受けてその感情になったか」=原因を説明しています。I’m glad to see you. なら、「会うこと」が、うれしさの原因です。
この用法も、コアの「→」から捉えられます。「会う」という動作へ向かい、それに触れた結果、うれしいという感情が生まれる ── 動作へ向かった先に、感情が結びついているわけです。glad, sad, happy, surprised, sorry, excited など、感情の形容詞と不定詞は、セットでよく使われます。
- I’m sorry to hear that.(それを聞いて残念です=お気の毒に)
- I’m excited to start this project.(このプロジェクトを始められてわくわくしている)
意味3 ― 結果・判断の根拠
残りの二つは、少し発展的な意味です。頻度は高くありませんが、知っておくと読解に役立ちます。
結果(〜して、結局…になる)
動作の結果を表す用法です。「〜して、(その結果)…となった」という流れを示します。
- He grew up to be a famous singer.(彼は成長して、有名な歌手になった)
- She woke up to find herself alone.(目が覚めると、一人きりだった)
grew up(成長した)、その結果 to be a famous singer(有名な歌手になった)── 動作の後に起きた結果を、不定詞が示しています。これも「→(そちらへ向かって進んだ先)」のイメージで、動作の流れの行き着いた先、と捉えられます。目的(これからの狙い)と形は似ていますが、結果は「実際にそうなった」点が違います。文脈で見分けます。
判断の根拠(〜するとは)
人の性格などを評価するとき、その判断の根拠を示す用法です。「〜するとは(…だ)」という形になります。
- He is kind to help me.(私を助けてくれるとは、彼は親切だ)
- You were careless to lose your key.(鍵をなくすとは、不注意だった)
He is kind(彼は親切だ)という判断の、根拠・理由が to help me(私を助けること)です。「助けてくれる、それを見れば、親切だとわかる」という関係です。kind, nice, clever, careless, foolish など、人の性質を評価する形容詞とともに使われます。
これら二つ(結果・判断の根拠)は、目的や感情ほど頻繁ではありません。「副詞的用法には、目的・感情の原因を中心に、結果や判断の根拠を表す使い方もある」と、広がりを知っておけば十分です。
まぎらわしい三用法の見分け方
ここまでで、不定詞の三つの用法 ── 名詞的・形容詞的・副詞的 ── がすべて出そろいました。どれも「to + 動詞」という同じ形なので、文の中でどの用法か、見分けられることが大切です。最後に、三つの識別方法を整理しておきましょう。
見分けの決め手は、「不定詞が、文の中で何をしているか」です。
| 用法 | 働き | 見分け方 | 例 |
|---|---|---|---|
| 名詞的 | 名詞になる | 主語・目的語・補語の位置にある(「〜すること」と訳せる) | I like to read.(読むことが好き) |
| 形容詞的 | 名詞を修飾 | すぐ前に名詞があり、それを説明(「〜すべき」と訳せる) | a book to read(読むべき本) |
| 副詞的 | 動詞・形容詞を修飾 | 上の二つ以外。動詞や形容詞に理由・目的などを付け足す(「〜するために・〜して」と訳せる) | I came to read.(読むために来た) |
具体的な手順は、こうです。
- その不定詞は、主語・目的語・補語になっているか? → なっていれば名詞的用法(〜すること)。
- すぐ前に名詞があって、それを説明しているか? → していれば形容詞的用法(〜すべき)。
- どちらでもなく、動詞や形容詞に意味を付け足しているか? → それが副詞的用法(〜するために・〜して)。
同じ to read で確かめてみましょう。
- I like to read.(読むことが好き)… like の目的語 → 名詞的
- I have a book to read.(読むべき本がある)… a book を説明 → 形容詞的
- I came to read.(読むために来た)… came の目的を説明 → 副詞的
「文の骨組み(主語・目的語・補語)になっているか」→「名詞にくっついているか」→「それ以外か」の順で問えば、どの用法かは見分けられます。訳してみて、「〜すること」なら名詞的、「〜すべき」なら形容詞的、「〜するために・〜して」なら副詞的、という日本語の手がかりも役立ちます。
つまずきポイント
不定詞の副詞的用法で、間違えやすい点を整理します。
つまずき1:目的を for + -ing で表そうとする
「〜するために」を、for + 動詞の -ing で表してしまう誤りです。
- 誤:I came for see you. / I came for seeing you.
- 正:I came to see you.(会うために来た)
行動の目的(〜するために)は、to不定詞で表します。for を使いたくなりますが、「これから〜する」という目的は、to の「→(これから向かう)」がぴったりで、to不定詞が正解です。
つまずき2:感情の形容詞の後ろで、to を落とす
「〜してうれしい」の形で、不定詞の to を忘れる誤りです。
- 誤:I’m glad see you. / I’m glad seeing you.
- 正:I’m glad to see you.(会えてうれしい)
§4 のとおり、感情の原因は「感情の形容詞 + to不定詞」です。glad, happy, surprised などの後ろは、to + 原形にします。
つまずき3:三用法を取り違える
同じ to + 動詞を、別の用法と混同する誤りです。とくに、副詞的用法(目的)と名詞的用法(目的語)は迷いやすいところです。
- I went there to buy a book.(本を買うために行った)… 副詞的(went の目的)
- I want to buy a book.(本を買いたい)… 名詞的(want の目的語)
§6 のとおり、その不定詞が「動詞の目的語になっているか(名詞的)」「動作の目的を説明しているか(副詞的)」で見分けます。went to buy は「行った、その目的は買うため」、want to buy は「買うことを望む」です。
つまずき4:in order to の語順を崩す
目的を強調する in order to の語順を、間違える誤りです。
- 誤:I studied in order that to pass. / in to order pass.
- 正:I studied in order to pass.(合格するために勉強した)
§3 のとおり、「in order to + 原形」の順で、ひとまとまりの表現です。in order to を一つの「〜するために」として覚えておきましょう。
まとめ早見表
不定詞の副詞的用法は、副詞のように動詞・形容詞を修飾し、「目的」を中心にいくつかの意味を表します。
| 意味 | 訳 | 例文 |
|---|---|---|
| 目的(中心) | 〜するために | I came to see you. |
| 感情の原因 | 〜して(うれしい等) | I’m glad to see you. |
| 結果 | 〜して(結局…) | He grew up to be a doctor. |
| 判断の根拠 | 〜するとは | He is kind to help me. |
そして、不定詞の三用法は、次のように見分けます。
| 用法 | 見分け方 | 訳の手がかり |
|---|---|---|
| 名詞的 | 主語・目的語・補語になる | 〜すること |
| 形容詞的 | 前の名詞を説明 | 〜すべき |
| 副詞的 | 動詞・形容詞を説明(上記以外) | 〜するために・〜して |
副詞的用法は、複数の意味をばらばらに覚えるものではありません。中心にあるのは「目的(〜するために)」で、これは不定詞とはで見た to の「→(これから向かう)」が、そのまま「行動の狙い」になったものです。感情の原因や結果も、「その動作へ向かった先」という、同じイメージの広がりです。「to は、向かう先を指す」── この一点を持っていれば、不定詞の三つの用法すべてが、一本の線でつながって見えてきます。
次に読むとよい記事
副詞的用法で、不定詞の三用法がそろいました。全体像や、関連する形も合わせて確認しておきましょう。
- 品詞 ― 動詞・形容詞を説明する「副詞」の働きの基礎
- 不定詞とは ― 三用法すべての土台になる、to の「→(これから向かう)」というコアイメージ
- 不定詞の名詞的用法 ― 「〜すること」として主語・目的語・補語になる使い方
- 不定詞の形容詞的用法 ― 「〜すべき」と名詞を後ろから説明する使い方
- 不定詞の副詞的用法 ― 「〜するために」など、動詞・形容詞を説明する使い方