時制シリーズも、いよいよ最後の一本です。現在完了形・過去完了形と見てきた完了形の系列に、三つめの未来完了形が加わります。そして、これで時制マップのすべてのマスが埋まります。
時制の全体マップで位置を確認しましょう。
| 単純形 | 進行形 | 完了形 | |
|---|---|---|---|
| 現在 | 現在形 | 現在進行形 | 現在完了形 |
| 過去 | 過去形 | 過去進行形 | 過去完了形 |
| 未来 | 未来形 | 未来進行形 | 未来完了形 ← この記事 |
右下の最後のマス、それが未来完了形です。この記事を読み終えると、時制マップの3×3がすべてそろうことになります。
過去完了形の記事で、「完了形の列は助動詞の形を変えれば縦に貫ける」と予告しました。
| 時制 | 形 | 意味 |
|---|---|---|
| 現在完了形 | have / has + 過去分詞 | 過去から現在へのつながり |
| 過去完了形 | had + 過去分詞 | もっと前から、過去の基準点へのつながり |
| 未来完了形 | will have + 過去分詞 | 未来の基準点までに完了しているつながり |
「現在完了形+過去完了形」を理解した今、未来完了形は半分以上できあがっています。助動詞の部分が will have に変わるだけ。新しく覚えることはほとんどありません。
そして、未来完了形の核心をいきなり言っておきます。
未来完了形は、「未来のある時点までに、〜し終えているだろう」を表す形です。
過去完了形が「過去のある基準点までに完了していた」だったことを思い出してください。未来完了形は、その基準点を未来に移しただけ。「未来のここまでには、もう終わっているはず」という、未来における完了を表します。
「来月で、私はこの会社で10年働いたことになる」 「君が戻るころには、僕は仕事を終えているだろう」
「来月」「君が戻るころ」という未来の基準点を立て、その時点で「もう完了している」ことを表す——これが未来完了形の仕事です。
今 ————————————————→ 未来
↑
未来の基準点(by then)
←——ここまでに完了している——|
(will have + 過去分詞)
過去完了形と同じく、未来完了形は必ず「未来の基準点」とセットで使います。とくに by + 未来の時点(by tomorrow, by next year, by the time …)との結びつきが強く、「未来完了を見たら by を探せ」と言えるほどです。この基準点との関係を軸に、未来完了形を見ていきましょう。
未来完了形とは何か — 「未来の基準点までに完了」
形は完了形の助動詞を will have にしただけ
未来完了形の形は、will have + 動詞の過去分詞 です。
現在完了形(have / has + 過去分詞)の have を、will have に変えるだけ。「will + have の原形」で、完了の have を未来側にずらしている、と読めば構造はそのままです。過去分詞のつけ方も、否定・疑問の作り方も、これまでの完了形でやったことがそのまま使えます。
意味も同じ理屈で導けます。完了形は「助動詞 have が足場を作り、過去分詞が完了した動作を表す」のでした。その足場が、現在(have)→過去(had)→未来(will have)と動くだけです。
| 時制 | 助動詞 | 足場の位置 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 現在完了 | have / has | 現在 | 今までに完了している |
| 過去完了 | had | 過去のある時点 | その時までに完了していた |
| 未来完了 | will have | 未来のある時点 | その時までに完了しているだろう |
「未来のある時点を基準にして、そこまでに動作が完了している」——これが未来完了形の意味です。
必ず「未来の基準点」とセットで使う
過去完了形が「過去の基準点」を必要としたように、未来完了形は「未来の基準点」を必要とします。「いつまでに完了しているのか」という締め切りがないと、未来完了は宙に浮いてしまうからです。
基準点の示し方は、主に三つあります。
| 「未来の基準点」の示し方 | 例 |
|---|---|
| by + 未来の時点 | I will have finished by tomorrow. |
| by the time + 節 | By the time you arrive, I will have finished. |
| 未来の時の表現 | Next month, I will have worked here for ten years. |
とくに一つめ・二つめの by との結びつきが強烈です。by は「〜までに(その時点を期限として)」を表す前置詞・接続詞で、「期限までに完了している」という未来完了の意味とぴったり噛み合います。
by と until の違いに注意。 どちらも「〜まで」と訳されますが、by は「期限(その時点までに完了)」、until は「継続の終点(その時点までずっと)」を表します。未来完了と相性が良いのは by のほうです。I will have finished by 5 PM.(5時までに終えているだろう/期限)であって、until 5 PM ではありません。
完了形の縦系列が完成
これで完了形の縦の列がそろいました。
| 時制 | 形 | 基準点 |
|---|---|---|
| 現在完了形 | have / has + 過去分詞 | 現在 |
| 過去完了形 | had + 過去分詞 | 過去のある時点 |
| 未来完了形 | will have + 過去分詞 | 未来のある時点 |
助動詞の形を変えれば、「ある基準点までの完了」というイメージを時間軸のどこにでも置ける——完了形の系列はこの原理で貫かれています。現在完了・過去完了を理解していれば、未来完了は基準点を未来にずらすだけ。
過去完了のときと同じく、新しく覚えることはほとんどありません。次のセクションで形を手早くおさらいし、用法へ進みます。
形のおさらい — will have + 過去分詞
未来完了形の形は、will have + 動詞の過去分詞 です。既習の二つの要素を組み合わせるだけで、新しく覚えることはほぼありません。
主語による変化なし
未来完了形は、主語に関係なくつねに will have で統一できます。will が助動詞なので、主語によって形が変わらないからです。現在完了では三単現で has になりましたが、未来完了では誰が主語でも will have のままです。
| 主語 | 形 |
|---|---|
| I / you / he / she / it / we / they | will have + 過去分詞 |
- I will have finished by then.
- She will have finished by then.
- They will have finished by then.
すべて will have。主語を意識せずに作れる、完了形の中でいちばんラクな構造です。
肯定・否定・疑問
否定は will の後ろに not、疑問は will を主語の前に出します。will の通常の操作で、do / does は使いません。
| 形 | 例 | |
|---|---|---|
| 肯定 | will have + 過去分詞 | She will have finished. |
| 否定 | will not have + 過去分詞 | She won’t have finished. |
| 疑問 | Will + 主語 + have + 過去分詞? | Will she have finished? |
短縮形は I’ll have / you’ll have / he’ll have / she’ll have / we’ll have / they’ll have。否定は won’t have です。
- Will you have finished by 5 PM? — Yes, I will. / No, I won’t.
答え方は will で受けます。have は答えに含めません(× Yes, I will have.)。
by との相性(重要)
導入で触れたとおり、未来完了形は by + 未来の時点 や by the time + 節 と組むのが定番です。実際に使うときは、この by とのペアを意識すると自然な文が作れます。
| by の形 | 例 |
|---|---|
| by + 時点 | I will have finished by tomorrow.(明日までに終えているだろう) |
| by the time + 節 | By the time you come, I will have left.(君が来るころには、出ているだろう) |
| by then | By then, she will have graduated.(そのころには、彼女は卒業しているだろう) |
ここで一点、後で扱うつまずきの予告です。by the time の中の節は未来のことでも現在形になります(by the time you come であって by the time you will come ではない)。これは時・条件のまとまりのルールで、後のつまずきポイントで改めて触れます。
過去分詞(おさらい)
過去分詞の作り方はこれまでの完了形と完全に同じです。詳細は現在完了形の記事に譲りますが、要点だけ再掲します。
| 種類 | 過去形と過去分詞の関係 | 例 |
|---|---|---|
| 規則動詞 | 同じ形(-ed) | play - played - played |
| 不規則:3形同じ | 三つとも同じ | put - put - put |
| 不規則:過去形=過去分詞 | 過去形と過去分詞が同形 | have - had - had |
| 不規則:3形違う | 三つとも違う | go - went - gone |
形は以上です。本記事の核心はここから先——3つの用法、とりわけ本丸の用法1「完了」です。
未来完了形は「いつ・なぜ」使うのか — 3つの用法
未来完了形の用法は、現在完了形・過去完了形と同じ3つ(完了・継続・経験)に整理できます。基準点が「未来のある時点」になっているだけで、考え方は同じです。
| 用法 | 表すもの |
|---|---|
| 完了(本丸) | 未来のある時点までに、〜し終えているだろう |
| 継続 | 未来のある時点で、〜し続けてきたことになる |
| 経験 | 未来のある時点までに、〜したことになる |
用法1が未来完了形の中心です。順に見ていきましょう。
用法1:完了 — 「その時までに、〜し終えているだろう」(本丸)
未来のある時点を基準にして、その時点までに動作が完了している(完了しているはずだ)と表します。未来完了形の最も基本的で、最もよく使われる用法です。
- I will have finished the report by tomorrow.(明日までにレポートを終えているだろう)
- By the time you arrive, the meeting will have ended.(あなたが着くころには、会議は終わっているだろう)
- The train will have left by the time we get there.(私たちが着くころには、電車は出てしまっているだろう)
各文に共通するのは、「未来の基準点(by tomorrow, by the time …)」と「その時点での完了」のセットです。「明日」という締め切りまでに「レポートを終える」、「あなたが着く」という時点までに「会議が終わる」——未来のある瞬間を区切りにして、そこまでに片がついていることを述べています。
過去完了形の完了用法(過去の基準点までに完了していた)を、未来にスライドしたもの、と考えるとそのまま理解できます。違いは基準点が未来になっただけです。
| 時制 | 完了用法の例 | 基準点 |
|---|---|---|
| 過去完了 | I had finished by then.(その時までに終えていた) | 過去のある時点 |
| 未来完了 | I will have finished by then.(その時までに終えているだろう) | 未来のある時点 |
用法2:継続 — 「その時で、〜し続けたことになる」
未来のある時点を基準にして、そこまである状態や動作が継続してきたことを表します。「来月で〜年になる」のような、節目を表す言い方です。
- Next month, I will have worked here for ten years.(来月で、ここで10年働いたことになる)
- By next year, they will have been married for 20 years.(来年で、彼らは結婚20年になる)
- By the end of this course, you will have studied English for 100 hours.(このコースが終わるころには、英語を100時間学んだことになる)
現在完了の継続用法(今まで続いてきた)、過去完了の継続用法(過去の時点まで続いてきた)と同じく、for(期間)と相性が良い用法です。「未来のその節目で、これだけの期間が積み上がっていることになる」という、ちょっとした感慨を込めた言い方になります。
用法3:経験 — 「その時までに、〜したことになる」
未来のある時点までに、ある経験の回数が達成されることを表します。「今度〜したら、〜回目になる」のような言い方です。
- If I visit Kyoto again, I will have been there five times.(また京都に行ったら、5回目になる)
- By the end of the year, she will have read 50 books.(年末までに、彼女は50冊読んだことになる)
- After this trip, I will have visited all 47 prefectures.(この旅行のあと、47都道府県すべてを訪れたことになる)
現在完了・過去完了の経験用法を未来にスライドしたものです。「未来のその時点で振り返ると、これだけの経験を積んだことになる」という、未来から過去を振り返る視点が特徴です。
3用法の共通点 — すべて「未来の基準点から振り返る」
3用法に共通するのは、未来のある時点に立って、そこから振り返るという視点です。
| 用法 | 未来の基準点から見ると |
|---|---|
| 完了 | その時までに動作が完了している |
| 継続 | その時まで状態が続いてきた |
| 経験 | その時までに経験を積んだ |
現在完了が「今から振り返る」、過去完了が「過去のある時点から振り返る」だったのに対し、未来完了は「未来のある時点から振り返る」。視点を置く位置が違うだけで、「基準点までの完了・継続・経験」という完了形の本質はまったく同じです。だから完了形を一つ理解すれば、残りは基準点をずらすだけで身につきます。
つまずきポイント
落とし穴1:未来の基準点なしで未来完了を使う
未来完了形は「未来のある基準点までに完了」を表す形でした。だから基準点がない文では宙に浮いてしまいます。
- 不自然:I will have finished the report.(いつまでに?が示されておらず、据わりが悪い)
- 自然:I will have finished the report by tomorrow.(by tomorrow が基準点)
- 自然:By the time you come, I will have finished the report.(by the time 節が基準点)
「未来のことを完了の感じで言いたい」というだけで未来完了を選ぶと、基準点が抜けて不自然になります。by + 時点や by the time + 節などの締め切りとセットにする——これが未来完了を使うときの鉄則です。
落とし穴2:単純な未来(will)で足りるのに未来完了を使う
過去完了のときと同じく、未来完了も「使いすぎ」に注意が必要です。単に未来の予定や予測を言うだけなら、未来完了ではなく will(単純未来)で十分です。
- 冗長:I will have gone to the store tomorrow.(単に「明日店に行く」だけなら不要)
- 自然:I will go to the store tomorrow.
未来完了が必要なのは、「ある未来の時点を区切りにして、そこまでに完了している」と言いたいときだけです。「明日店に行く」のような単純な未来の行動は、will で素直に表します。
- 未来完了が活きる:I will have gone to the store by the time you wake up.(君が起きるころには、もう店に行ってきているだろう)
「君が起きる」という基準点との前後関係を示したいときに、未来完了が意味を持ちます。基準点との関係を言いたいのか、単に未来の行動を言いたいのか——ここで形を選び分けます。
落とし穴3:時・条件のまとまりの中では現在完了になる
未来表現・未来進行形で扱った「時・条件のまとまりの中では未来形を使わず現在形にする」というルールは、未来完了にも関わってきます。
by the time, when, if などのまとまりの中では、未来完了を使いません。完了の意味を出したいときは現在完了にします。
-
誤:By the time you will have arrived, I will have left.
-
正:By the time you arrive, I will have left.(あなたが着くころには、私は出ているだろう)
-
誤:When you will have finished, call me.
-
正:When you have finished, call me.(終わったら、電話して)
メインの文(主節)は未来完了(will have left)でいいですが、by the time / when のまとまりの中は、未来でも will を使いません。完了のニュアンスが必要なら現在完了(you have finished)で表します。詳しいしくみは接続詞・副詞節の記事で扱う予定です。
落とし穴4:will have と過去完了 had の混同
形が似ているため、未来完了(will have + 過去分詞)と過去完了(had + 過去分詞)を取り違えるミスがあります。見分けは助動詞の部分です。
| 形 | 助動詞 | 基準点 |
|---|---|---|
| 未来完了 | will have | 未来のある時点 |
| 過去完了 | had | 過去のある時点 |
- I will have finished by then.(未来の基準点までに完了するだろう/これから)
- I had finished by then.(過去の基準点までに完了していた/すでに済んだ話)
will have なら未来へ向かう完了、had なら過去に済んだ完了。助動詞が will have か had かを見れば、どちらの時間軸の話か一目で分かります。
なお、未来完了と過去完了をまとめて「完了形」として理解しておくと、混同はむしろ減ります。どちらも「ある基準点までの完了」を表す同じ仲間で、基準点が未来か過去かが違うだけ——この共通構造を押さえておけば、形の違い(will have / had)と意味の違い(未来/過去)がセットで結びつきます。
まとめ早見表
未来完了形の3つの用法
| 用法 | 表すもの | 例文 | 目印 |
|---|---|---|---|
| 完了(本丸) | 未来の時点までに完了している | I will have finished by tomorrow. | by + 時点, by the time |
| 継続 | 未来の時点まで続いてきたことになる | Next month, I will have worked here for ten years. | for + 期間, by next year |
| 経験 | 未来の時点までに経験したことになる | If I go again, I will have been there five times. | by then, after this |
形の作り方
| 形 | 例 | |
|---|---|---|
| 肯定 | will have + 過去分詞 | She will have finished. |
| 否定 | will not have + 過去分詞 | She won’t have finished. |
| 疑問 | Will + 主語 + have + 過去分詞? | Will she have finished? |
主語による変化なし。短縮形:I’ll have / you’ll have / he’ll have など、否定は won’t have。答え方は will で受ける(Yes, I will. / No, I won’t.)。
by と未来完了はセット
| by の形 | 例 |
|---|---|
| by + 時点 | I will have finished by tomorrow. |
| by the time + 節(中は現在形) | By the time you come, I will have left. |
| by then | By then, she will have graduated. |
※ by the time の節の中は未来でも現在形(you come であって you will come ではない)。
完了形の縦系列(完成)
| 時制 | 形 | 基準点 |
|---|---|---|
| 現在完了形 | have / has + 過去分詞 | 現在 |
| 過去完了形 | had + 過去分詞 | 過去のある時点 |
| 未来完了形 | will have + 過去分詞 | 未来のある時点 |
つまずきチェックリスト
| こんなとき | 正しくは |
|---|---|
| 基準点なしで未来完了を使う | by 〜 / by the time 〜 とセットで |
| 単純な未来を未来完了で言う | 基準点との関係がなければ will で十分 |
| by the time 節の中で未来完了を使う | 節の中は現在完了(By the time you have finished, …) |
| will have と had を混同 | will have なら未来、had なら過去の完了 |
判断に迷ったら、未来完了の中心イメージに戻ってください——未来のある基準点に立って、そこまでに完了していることを表す。基準点(by 〜)がなければ、未来完了の出番ではありません。
次に読むとよい記事
未来完了形をもって、時制マップの3×3——単純形・進行形・完了形 × 現在・過去・未来——のすべてのマスがそろいました。時制シリーズはここでひと区切りです。お疲れさまでした。
ここから先は、時制を土台にした発展的な文法へ進む段階です。
- 助動詞(作成予定)— will / have + 過去分詞という構造を理解した今、最も自然な次の一歩です。can, must, may, should など、話し手の判断や態度を表す助動詞の世界を扱います。「主語で形が変わらず、後ろは原形」という、時制シリーズで何度も出会った性質が、助動詞すべてに共通します。
- 仮定法(作成予定)— If I had known, I would have helped. のような仮定法では、時制の形(過去形・過去完了形)が「時間」ではなく「現実との距離」を表すために流用されます。時制を理解した今だからこそ、その応用として面白く読める領域です。
- 現在完了形 — 完了形の原点。「基準点までの完了・継続・経験」という完了形の本質を、もう一度確認したいときに。
- 過去完了形 — 未来完了形と対をなす形です。「基準点が過去か未来か」の違いを意識して、両方をセットで振り返りたいときに。
- 現在形 — すべての出発点。時制の旅を「点と帯」の原点から振り返りたいときに。