転職が、英語の学び直しの始まりだった
英語を学び直すことになったきっかけは、外資系企業への転職でした。
先に白状しておくと、留学経験はありません。英語の特別な経歴もなし。学生時代の英語も、正直、得意とは言えませんでした。
それでも、仕事は待ってくれないんですよね。会議は英語。メールも英語。社内教育の資料まで英語。入社した瞬間、英語が「いつかやりたいもの」から「今日を乗り切るために必要なもの」に変わりました。
当時の私は、とにかく時間がかかりました。同僚が数分で読み終えるメールを、辞書と翻訳ツールを往復しながら読む。会議の内容を、後から資料で確認し直す。気づけば残業が当たり前になっていました。
今でも覚えているのが、会議の後に届くメールです。会議の細かい内容が聞き取れていないので、「例の件、進めてください」と連絡が来ても——何それ? そんな話してた?
そのたびに、恥を忍んで同僚に聞きに行く。この繰り返しでした。
悔しい。そして恥ずかしい。振り返れば、この二つの感情が私の学び直しの出発点でした。
Google翻訳に頼った日々と、その限界
当時は今ほどAIが進化していなかったので、頼みの綱はGoogle翻訳でした。届いた英文メールを貼り付けて日本語に。返信は日本語で書いて英語に変換。この往復で、メールのやり取りはなんとか回っていました。
……回っている、つもりでした。
翻訳ツールが返してくれるのは「直訳」です。一文一文の意味はなんとなく取れる。でも、会話の流れや相手の意図まではつかめない。気づかないうちに、ずれた返事を重ねてしまう。
忘れられない出来事があります。社内サーバーのメンテナンスについて、チャットで打ち合わせをしていたときのことです。ITの専門用語と英語のダブルパンチで、私は何の話をしているのか、探り探りついていくのがやっと。的を外した返答を重ねた末に、相手から返ってきたのは、こういう趣旨の一言でした。
「こちらでいいようにやっておくから、大丈夫」
——諦められたんです。
怒られたわけじゃない。責められてもいない。ただ、「この人に説明するより、自分でやったほうが早い」と判断された。あのときの、悔しいような情けないような感覚は、今でもはっきり思い出せます。
翻訳ツールは、単語や文は置き換えてくれます。でも「相手が何を言おうとしているのか」を理解する力までは、代わってくれない。このままでは、仕事で信頼される英語にはたどり着けない——認めざるを得ませんでした。
なぜ「文法」だったのか
さて、何をやり直すか。
単語を覚え直す。フレーズ集を暗記する。いろいろ考えました。でも私が選んだのは、英文法でした。
理由は単純です。私がつまずいていたのは「単語がわからない」ことじゃなく、**「文の組み立てがわからない」**ことだったからです。
単語は、辞書を引けばわかるんです。でも、その単語たちがどういう順序で、どういう理屈でつながって意味を作っているのか。そこがわからないから、直訳の域を出られない。会話の流れも、相手の意図も、文の構造がつかめなければ見えてこない。
文法を学び直して変わったのは、まさにここでした。
文法から意味を理解できるようになると、直訳ではなく、文が伝えようとしている本質を捉えられるようになっていきました。英文メールなら、構造がわかるので「どこが要件で、どこが背景説明か」を読み分けられる。書くほうも、よく使う構文を自分の中でテンプレート化できるので、ゼロから翻訳ツールに頼らなくても組み立てられる。
メール処理の時間は目に見えて短くなり、仕事は少しずつスムーズに回り始めました。
学校で丸暗記させられた、あの退屈なルール集。それが実は、文の意味を根本から理解するための、いちばんの近道だった——遠回りの末にたどり着いた、私の結論です。
社会人の時間で、実際にやったこと
とはいえ、社会人に机に向かう時間はそう多くありません。私がやったのは、特別なことではなく「隙間時間で毎日英語に触れる」工夫でした。
英単語はアプリでゲーム感覚に。 通勤時間にちょうどいい。「勉強するぞ」と構えると続かないので、ゲームのつもりでこなしました。
気になる英文は、時間をかけてでも読み解く。 仕事で出会った一文でも、記事の一節でも、「なぜこの形でこの意味になるんだろう?」と引っかかったものは、納得するまで調べる。この「一文をしゃぶり尽くす」時間が、文法の理解を一番深めてくれた気がします。
文法問題は、声に出しながら解く。 目で追うだけより、口を動かしたほうが定着しました。声に出せない電車の中では、頭の中で音読します。
ネイティブの会話を聞く。 聞き取れなくても、とにかく耳に入れる。
どれも地味です。でも、続けるうちに気づいたことがあります。大事なのは1日の量じゃなく、毎日触れること。3日分をまとめて3時間やるより、10分でも毎日のほうが、確実に前に進みました。
変わったこと、まだ苦手なこと
文法の学び直しで、仕事の英語は確実に変わりました。メールは自分の言葉で組み立てられるようになり、処理は速くなり、あの「探り探りの返信」からは卒業できました。
……と、きれいに締めたいところですが、正直に書きます。
リモート会議の聞き取りは、今でも苦手です。 音質が悪く、早口で、複数人が重なって話す英語。あれは今も、身構えます。
それでも、以前との違いははっきりあります。文の組み立てがわかっているので、部分的にしか聞き取れなくても「構造から推測して」ついていける。全滅はしなくなりました。そして何より、「聞き取れなかった」で終わらせず、なぜ聞き取れなかったのかを考えて、次の学びにつなげられるようになりました。
英語の学び直しに、「完成」はないんだと思います。私も、まだ途中です。
同じ場所にいる人へ
留学経験がなくても、英語の経歴がなくても、社会人からのやり直しでも——文法から学び直せば、英語は「自分で組み立てられるもの」になります。これは理屈ではなく、私自身が通ってきた実感です。
Wordgent は、その経験から生まれたサイトです。あのとき私がほしかった「なぜそうなるのかを、理由から説明してくれる場所」を、かつての私と同じ場所でつまずいている人のために作っています。
もしあなたが今、翻訳ツールと残業の間で消耗しているなら。まずは英文法ポータルを覗いてみてください。丸暗記ではない、「なるほど、だからか」から始まる学び直しを、ここに用意しています。
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